【解説まとめ】爪白癬(爪水虫)の症状と原因・予防方法。アスリートは白癬菌の早期治療が必須!

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爪の水虫って聞いたことありますか?
実は足裏の水虫と一緒で、爪にも水虫があるのです。

爪は皮膚の角質層が変化したものですが、水虫の原因となる真菌はこの角質層を食べて発育するので、足の表面の他、爪にも寄生します。

もし爪が白くなってきて、爪切りをしている時にボロボロと剥がれてくるな、と感じたら爪白癬の疑いがあります。放っておくと爪が爪の機能を果たせなくな理、足でバランスを取ることができなくなってしまうので注意しましょう。

この記事では、爪の水虫について解説します。しっかりと知識をつけて、予防しましょう。

この記事はこんな方におすすめ

  • 最近、爪全体が白くなってきたと思う方
  • 爪がボロボロに剥がれてくると悩んでいる方
  • 爪の水虫について予防方法を知りたい方

爪白癬(つめはくせん)とは

爪白癬
爪先 から爪白癬になったケース。白い縦筋が爪全体に走っている

爪白癬は、爪の水虫と言われています。

足裏にできる水虫と同じで、白癬菌というカビ(真菌)の一種が爪の中に住みついたことで発症する感染症です。発症すると爪が白色から黄色に濁り、爪自体が厚くなります。また爪の下がボロボロと剥がれてくる特徴があります。

どうしてこのようになるかと言うと、白癬菌は、爪の主成分である ケラチン というタンパク質をエサにしています。そのため、白癬菌がいる場所は、まるで爪が分解されているかのようにボロボロとしてしまうのです。

白癬菌は暖かくて湿った場所を好むので、爪の中はとても住み付きやすい環境なのでしょうね。

日本人はどのくらい白癬菌に悩んでいるのか?

日本では、約1割の人が爪真菌症にかかって悩んでいると言われています。10人に1人とは意外と多いのではないでしょうか。ちなみに、足の水虫は約2割という報告があります。

(参考)「第 60 回日本医真菌学会 シンポジウム8-1 爪真菌症の疫学」- 金沢医科大学 皮膚科 教授 望月 隆(2017年)

発症部位は、手の爪より足の爪の方が多くみられます。

爪白癬になりやすい人としては、足の水虫を持っている人が挙げられます。その他は、男性の高齢者、足の血行が悪い人、糖尿病患者、病気や投薬で免疫機能が低下している人がいらっしゃいます。

爪白癬になりやすいスポーツ

爪白癬の原因となる真菌の感染は、感染者の体(特に足)や真菌が生息する湿った場所の床面などに触れることで起こります。つまり、人から人にうつります。

このことから爪白癬に注意したいスポーツは、次のスポーツです。

  • 水泳
  • 空手
  • 柔道
  • 剣道
  • レスリング
  • その他、裸足で行うスポーツなど

爪白癬の症状

爪白癬は、爪の外見が大きく変化するので異変に気付きやすい。しかし、異変があっても爪白癬だとすぐに断定はできませんが、これについては後程説明します。

具体的にどのような変化が見られるか、表にまとめました。

チェック項目状態
白色から黄色に濁る
痛み、かゆみなし(初期症状)
厚さ爪が厚くなる(重症の場合)
丈夫さボロボロと欠ける
発症場所爪の先端、爪の根元、左右両端

爪白癬はこのような変化がありますが、痛みやかゆみがないのが特徴です。

発症する場所は、爪のどの部分からもなります。爪先 から始まり根元に広がる場合や、その逆で根元の 爪上皮(甘皮)から侵入したり、爪の左右両端から拡大することもあります。つまり、どの部分からも爪白癬の原因となる真菌が侵入できると言うことですね。

初期症状や軽症の場合は、白や黄色に変色した縦筋や斑が出始め、白い鱗屑が徐々に広がっていきます。

また白癬菌が爪の深くまで侵入し重症化すると、爪が厚くなり、変形や変色が強くなります。時に爪が 爪床 から剥がれることもあるので注意しましょう。

特に爪が厚くなると、靴の内側にあたって痛みを感じるようになったり、走るたびに弱くなった爪が靴の中で擦れるわけですから、爪がポロっと取れることもあります。

爪白癬の主な原因

爪白癬
爪白癬に感染した親指。爪の裏側がボロボロと剥がれる

爪白癬の原因は、真菌(カビ)の一種である白癬菌が、足の 爪甲 や皮膚から爪の中に侵入することで発症します。

侵入経路は、主に爪の先端や爪の左右両端、爪の根元の 爪上皮(甘皮)です。

2種類に分けられる爪水虫

実は、爪の水虫には、大きく分類して2種類あります。

白癬菌が原因の場合

このケースは今まで説明してきた通り、白癬菌が角質に寄生して起こります。

白癬菌以外が原因の場合

一方、白癬菌が原因でない場合があります。

湿疹、かぶれなどの炎症がある病気の場合で、外見から医師が見ても白癬菌となかなか見分けがつきません。ですので、医療機関を受診しても検査の結果、約3割は白癬菌がいなかった、と報告されるくらいです。

爪白癬のような症状が見つかったら、まずは医師に相談しましょう。医師の診断では、爪白癬が起きている部分の角質を採取して顕微鏡で調べ、白癬菌の有無を調べてくれます。

爪白癬の注意事項

爪白癬でお悩みの方は、どんな悩みがあるのでしょうか?
よく聞く声には、次の2つポイントがあります。

  • なかなか治りづらい
  • しばしば再発する

ほとんどの症例では、もともと足の白癬を患っていて、爪に感染したケース。

爪は 爪甲爪床 の隙間が白癬菌にとっては格好の住処になるので、足から爪へ、爪から足へと白癬菌がいつまでも治らない状態をつくる原因となります。

このように白癬菌はうつってしまうので、自分自身の体の他、ご友人や家族にも移してしまうリスクがあります。早めに医療機関に行き、治療を始めましょう。

アスリート本人にとっても、早めに治療することは、スポーツパフォーマンスを維持することにつながります。なぜなら爪白癬は、爪をボロボロにしてしまうので、放置するとスポーツで重要な 爪圧 が効かなくなる爪になってしまうためです。

医師の診察

爪白癬でスポーツで大切な爪圧が効かなくなった爪

爪白癬は、外見だけで正しい診断は難しいので、爪白癬のサンプルを顕微鏡で調べたり、培養検査をして、白癬菌による感染かを特定します。

爪白癬と特定された場合は、爪白癬に有効な抗真菌薬を使用されますが、抗真菌薬は内服薬と外用薬があります。

爪をつくる 爪母 には毛細血管が通っていますので、内服薬では爪母の毛細血管から白癬菌に負けない健康な爪を育成させ、爪が生え変わるサイクル(足の場合は約1年)をかけて、治療していきます。

足白癬とは違って、外用薬は白癬菌が住んでいる部位まで浸透しない場合があるので、内服薬を併用する医療機関が多くあります。

爪白癬の予防方法

まずは、爪周りを清潔な状態に保つこと。そして、白癬菌が好む環境を作らないことが大切です。

具体的には、次のような行動が大事です。

  • 爪を伸ばしすぎない
  • お風呂上がりは足の指の間や爪の間をしっかり乾燥させる
  • 吸湿性、速乾性のある靴下を履く
  • 靴も定期的にメンテナンスし、菌の温床を作らない

また、爪白癬になってしまったら早期治療が最良の方法です。

放置することは、一番良くない結果を引き起こします。自分自身にうつさない、ご友人、家族にうつさないをことを意識して、早めに医師の診察を受けましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

  • 爪白癬は、爪にできる水虫である
  • 爪白癬は、爪をボロボロに破壊し、爪圧 を保てなくする
  • 爪白癬は、自分や他人にうつしてしまうことがある
  • 一番の予防は清潔を保つこと。異変を見つけたら医師に診てもらおう

今回は、爪の水虫の症状、原因、予防方法を紹介しました。

アスリートにとって爪白癬は一刻も早く治療したい病状です。爪白癬で爪がボロボロしてしまい爪の機能が活かせないと、爪圧 が使えず、踏ん張ることや瞬発力が必要な飛び出しに悪影響が出てしまいます。

現在は、昔と違い有効な薬の開発も進んできました。痛みやかゆみがないために自覚することが難しいですが、アスリートサロンでもこれまでお伝えしてきたように、練習後などに爪のチェック習慣をつけることが大切。

少しでも異変を感じたら早く医師に診てもらい、プレーに悪影響が出ないように務め、コンディショニングを最高に保ちましょう。


この記事にが参考になった方は、こちらもぜひご覧ください。

(参考)「爪白癬を治す」- マルホ株式会社 監修:東皮フ科医院 院長 東 禹彦 先生

爪の各部位の名称や機能については、以下の記事を参照ください。

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(参考)スポーツ愛好者に身近な感染症:“白癬”の現状とその研究の展望 - 山田剛、安部茂(帝京大学医真菌研究センター 医療技術学部 スポーツ医療学科)

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