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Emilio J. Rodríguez Posada / CC BY-SA記事レベル
【この記事は、5分で読めます】
スポーツをしているとシューズや道具との摩擦はなかなか避けられません。というより、摩擦がないとスポーツそのものが成り立ちません。オイルを塗った状態で投げたり、走ったりはできませんよね。
摩擦があるから指先にパワーがかけられるわけですが、その反面、皮膚の摩擦は胼胝(タコ)ができるきっかけにもなってしまいます。
スポーツと隣り合わせの胼胝。その原因を知り、適切なケアの方法を実践していきましょう。
この記事はこんなことを書いています
- 胼胝は皮膚の角質層が分厚くなったもの
- 胼胝ができる原因は、外部からの衝撃、圧迫、摩擦による
- 胼胝を放置すると、うおのめ(医学用語で鶏眼(けいがん))に繋がる
- 胼胝の予防には、日頃のケアが一番。角質層を厚くしないことが大切
胼胝(タコ)とは
胼胝(タコ)は、長期に渡って皮膚が圧迫や摩擦、衝撃を受けることでできる局部的な角質増殖のことです。表皮の角質化が極度に進んだ症状と言えます。
一見しても気付かないの小さな胼胝もあれば、広範囲で角質が厚くなってしまうこともあります。特に足にその傾向が見られますが、あまりに角質化が進みぼこぼこすると、スポーツする上でのデメリットが強くなってしまいます。
また、胼胝をそのままにしておくと角質化が進み、鶏眼(=うおのめ)に発展するケースがあります。鶏眼は痛みを伴うため避けるべき病状と言えます。
胼胝になりやすいスポーツ
胼胝は、一般的に手の平や足裏に起こるイメージが強いと思うが、継続的に摩擦や圧迫を受ける部分なら身体中のどこにでも起こります。アスリートの場合、シューズや競技道具、武装具など擦れている部分は、胼胝の予備軍になり角質が硬くなっているかもしれません。
- ランニング
- ウルトラマラソン
- トライアスロン
- ウエイトトレーニング
- 剣道
- ボート
- テニス
- その他、ラケットスポーツ
ここで覚えておきたいのは、皮膚の角質が硬くなるということは、言い換えると皮膚が体が守ろうとする反応なのです。つまり、胼胝は体を守ってくれているわけです。ですので、胼胝ができたら無理に取り除く必要はありません。アスリートがどう胼胝と付き合うべきかは、後程お伝えします。
胼胝の症状
胼胝は皮膚の表層で横に広がる
胼胝は、皮膚の角質層が厚くなることで黄色く見えます。一ヶ所の胼胝が広い範囲に及ぶこともありますが、通常は痛みやかゆみなどはなく、無症状です。外見の色と触った時の硬さから胼胝ができたことは、誰でも簡単に見分けられます。
鶏眼は皮膚の内部に深く刺さるように広がる
一方、鶏眼は、胼胝のように持続性のある摩擦や圧迫でできるのは同じですが、症状の進行が横ではなくて、縦に広がっていきます。皮膚の表層ではなく、鶏眼は皮膚の内部へくさび形の硬い芯をもって刺さるように進行するのです。そのため、強く痛みを伴います。
両方の比較を図で見ていきましょう。
胼胝は、テニスなどラケットを握るスポーツで「ラケット胼胝」が一般的には有名ですが、スポーツ以外での日常生活シーンでも胼胝の発症に大きく関わりがあります。
正座でいる時間が多い人は足の甲にできる「座り胼胝」。鉛筆やペンをよく握る人は中指の末節骨にできる「ペン胼胝」が知られています。生活習慣に胼胝が関わっていることがよく分かりますね。
胼胝の主な原因
胼胝と鶏眼ともに、皮膚の最も外側にある角質が、摩擦や圧迫などの外部刺激を継続的に受けて、過剰に角質化する(=過角化)ことで起きます。
爪にも言えることですが、角質は死んだ細胞です。皮膚のターンオーバーの最終段階が皮膚の表層にある角質層で、角質層のおかげでその下の真皮や皮下組織などの生きている細胞が守られています。
つまり、体の防御反応が過角化を生み、胼胝をつくっているのです。これは大切なので、ぜひ覚えておいてください。
外的刺激が継続すればするほど、その部分の皮膚は硬く厚くなって胼胝となり、その状態をキープし続けて守ろうとします。そのため、外的刺激の程度によって、細胞を量産して古い細胞を角質層へと送り、胼胝はどんどん厚く広くなっていくというわけです。
それでは、今まで見てきたことのおさらいとして、胼胝と鶏眼について、表にまとめました。
名称 | 胼胝 | 鶏眼・うおのめ |
---|---|---|
色 | 黄色 | 黄色、中心に白濁した芯 |
硬さ | 硬い | 硬い |
痛み | ほぼなし | 疼痛や圧痛あり |
原因 | 継続的な摩擦、圧迫、刺激 | 継続的な摩擦、圧迫、刺激 |
特徴 | 平坦に広く過角質化 | 深部に向かって過角質化 |
参考までに、胼胝と同じように摩擦や圧迫でできる症状に、マメ(水ぶくれ)があります。しかし、マメは比較的短期間の摩擦や圧迫で起きるもので、三層ある皮膚の層に隙間が起きてできるものです。この隙間に細胞を満たしている体液が入り込み、マメ(水ぶくれ)となります。
皮膚の変化が見られた場合は、色と触った感触で確かめてみましょう。
胼胝の注意事項
イボとの判別が重要
胼胝や鶏眼をケアする上で大切なのは、イボと見極めることです。
イボは、尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)と言い、ウイルスの感染によって起きる病状。
尋常性疣贅(イボ)の特徴は、点状の出血が見られることです。よく足底で発症します。
しかし、胼胝の下に隠れて肉眼では見えない場合もありますので、少しでも外見の色に変化を感じたら医療機関に行ってください。
尋常性疣贅(イボ)は、ウイルスが関与しているため、自分で対処することはできません。医療機関で凍結凝固療法などの専門的な治療法をする必要があります。
胼胝の予防方法
このように胼胝は、摩擦と圧迫で起きる体の防御反応ですので、予防という視点は少しニュアンスが違うかもしれません。しかし、胼胝をつくらないこと、悪化させないことについて、生活環境や練習内容を見直すことはできると思うので、いくつか紹介します。それぞれご自身のスポーツに置き換えて、考えみましょう。
胼胝をつくらない
スポーツや日常生活で慢性的に刺激を与えているシューズ、道具、武装具、または体の骨の突出など、胼胝が発生する原因を特定するには、身の回りのものを見返してみることが有効です。そこで摩擦や圧迫の原因になっているものを振り返ってみましょう。もし合わないと思っているものがあれば、道具を変えてみることも検討してみてください。
ランニングを例にとって、説明しましょう。シューズを変えた、または初心者ランナーの場合は、足が走ることで起こる外的刺激にまだ慣れていません。そのため、最初は擦れている部分にマメ(水ぶくれ)ができます。マメも胼胝も摩擦で起きるので、このマメができた部分が将来的に胼胝になる可能性がとても高い。胼胝になるまでには何週間もかかりますが、自分の体と向き合いながら、もし合わないと思ったらシューズを見直すことも大切です。
胼胝を悪化させないこと
まず自身の手足をよく見て、胼胝ができている場所を把握します。そして、練習後、帰宅後、入浴後など決まったタイミングで大きさ、色、硬さをチェックしておきましょう。決まったタイミングでするのがいいのは、湿気や濡れやむれによって、胼胝の感じ方が異なるためです。
分厚くなってきたと感じたら、少しずつ削り取ってケアする他に、摩擦や圧迫を軽減させる次のような手段を考えることも有効です。
- 潤滑油を使う(摩擦の軽減)
- テーピングを使う(摩擦の軽減)
- ソックスの下にストッキングを重ね履きする(摩擦の軽減)
- シューズのモデルやサイズを変える(摩擦、圧迫の軽減)
- シューレース(靴紐)の結び方を変えてみる(圧迫の軽減)
まとめ
いかがでしたでしょうか?
- 胼胝は摩擦や圧迫によって皮膚の角質層が分厚くなったもの
- 胼胝ができるのは、体を守ろうとする防御反応
- 胼胝を放置すると、鶏眼(=うおのめ)に繋がり疼痛を伴う
- 胼胝の予防には、日頃のケアが一番
胼胝はアスリートのパフォーマンスを支えている一方、それに甘んじていると逆に痛みでプレーに支障をきたすことが分かったと思います。今回は主に手足について、解説してきましたが、競技やポジション、プレースタイルによっては胼胝と付き合うべきか、取り除くべきかもっと深く向き合うことが必要でしょう。
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