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記事レベル ★★★☆☆
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爪は本来、先端の白くなっている部分(=爪先)以外は、爪の下の皮膚とよく付着している。しかし、爪が下の皮膚から浮いて、剥がれてしまうことがある。
指先を守る爪が剥がれることは、体内へ細菌の侵入を許してしまうなど、体にとってとても良くない。
年齢や性別に関係なく発症する病気だが、圧倒的に女性に多く、指爪によく生じる身近な症状と言える。爪甲剥離症になる原因は多いが、予防する方法は明確なので、爪のヘルスケアに役立てていこう。
この記事を読むメリット
- 爪甲剥離症に悩んでいる人
- 長期に渡り爪甲剥離症が改善しない人
- 体操選手、野球のピッチャー
- ラグビー、サッカーなどボディプレーが多いアスリート
- その他、滑り止めに炭酸マグネシウムを触るアスリート
爪甲剥離症とは
爪が先端から剥がれて部分的に浮き上がっている状態、または爪が完全に失われた状態を言う。剥離した部分は白く見える。発症は爪先から起こり、根元にむかって徐々に広がっていく。つまり、爪のピンクの部分が爪の先端から白くなり、爪の根元に向かって白い面積が増えていく症状だ。
多くは、手の爪で見られますが、まれに足の爪でも起こる。爪下血腫を放置しておくと、ほぼ間違いなく爪甲剥離症を伴う。
爪甲剥離症になりやすいスポーツ
・野球
・体操
・槍投げ、ハンマー投げなど投擲競技
・その他、炭酸マグネシウムを使用するスポーツ
爪甲剥離症の症状
爪は本来、指にしっかりと密着しているので剥がれることはありません。しかし、爪甲剥離症は正常に密着ができなくなり、指と爪の付着が弱くなっている症状だ。
爪が剥がれた部分は、全体的に白色や若干の黄色みを帯びた色に変わる。ただし、細菌感染による場合は緑色に変色する。
爪甲剥離症の特徴としては、1本の指のみが発症するのではなく、複数の指が同時に発症することがある。
また、爪甲剥離症が何らかの病状が原因によって起こる場合、その病気に応じた症状を併発する。よく報告される例としては、手足口病が原因した爪甲剥離症では、爪がはがれる数日から数週間前に手足口病の症状が見られるなどである。
※手足口病 … 手足や口の中の水ぶくれ、発熱、喉の痛みなどが出る。
爪甲剥離症の主な原因
爪甲剥離症が起こる原因は幅広い。前述した何らかの病状の他、例えば、洗剤などの化学物質の刺激や外傷、カンジタ感染、爪への外力、またマニキュアなど薬剤の慢性的な使用が原因となることもある。
これらを図式にまとめた。それぞれの原因の種別ごとに見ていこう。
病原性によるもの
接触皮膚炎(かぶれ)やカビの一種であるカンジダ感染の原因が多い。また乾癬も疑われるため、まずは病院に行くことがおすすめだ。
全身性疾患に伴う場合
全身性疾患のうち、爪甲剥離症と関係の深い原因は、甲状腺機能異常によるもの。この場合、爪は平らになることが多く、時に反り返る場合もある。
最初1本の指から始まり、次第に他の指にも進行するが、甲状腺機能異常の治療をすれば快方に向かう。
甲状腺機能異常が原因の場合には、動悸や疲れやすさ、悪寒の症状も見られる。
また、甲状腺以外の病状でも、貧血や指先の血行障害の時に、つめの中央部がへこんだ状態になることがあります。これを匙状爪甲(スプーンネイル)と言うが、この際も爪甲剥離症症を生じることがある。女性は特に気をつけたい。
- 甲状腺機能異常
- 鉄欠乏性貧血
- 血行障害
- 糖尿病
- 多発性骨髄腫
- 循環障害
- 妊娠
- 梅毒など
皮膚疾患に伴う場合
皮膚疾患のような部分症状として爪甲剥離症が見られるものは、強皮症、乾癬、掌蹠膿疱症、多汗症尋常性乾癬がある。
ただ、皮膚疾患が原因で起きる場合は、皮膚の症状から診断がつくことから、その皮膚疾患の治療を行えば症状は良くなる。
- 尋常性乾癬
- 強皮症
- 爪真菌症
- 扁平苔癬
- 湿疹・皮膚炎
- 手足口病
- 爪の先天異常など
湿疹やかぶれについて補足しておきたい。湿疹やかぶれが起こると、皮膚がわずかにむけるのみで完治に向かう。しかし、爪の下ではほんのわずかに皮がむけた状態でも、つめははがれて浮いた状態となるので気付かない場合が多く、注意が必要だ。
感染症による場合
代表的なものは、カンジダ感染症。剥がれた爪をできるだけ切り取って、爪床部の角質を採取のうえ顕微鏡で菌の有無を調べることで診断ができる。
- カンジダ
- 白癬
- マラセチア
- 真菌性による細菌
カンジダ菌が認められれば、抗カンジダ薬(イトラコナゾール)の内服か、爪床部に抗カンジダ剤の外用を行う。
カンジタ感染の場合の特徴として、爪の下の皮膚がガサガサした状態になる。
病原性以外の原因
病原性以外でも様々な原因がある。マニキュアや洗剤、機械的刺激、慢性的な爪への外力がある。爪床部にステロイド薬の外用を行い、長期的な治療が必要となる。
慢性的な薬剤の使用
身近な問題として一番気をつけたいのが、シャンプーだ。指を立てて頭皮をマッサージする場合、風呂で柔らかくなった皮膚と爪の間に細い髪の毛が入ることで、爪甲剥離症を起こしやすい状況を作ってしまう。既に爪甲剥離症になっている人は程度が進行するため、特に注意されたい。シャンプーブラシがおすすめだ。
- 爪の接触皮膚炎(マニキュア、ネイルポリッシュ、ヘアスプレー)
- 洗剤
- 機械的な刺激
慢性的な爪への外力
爪下皮(ハイポニキウム)=爪と皮膚の間は、とてもデリケートな部位だ。弱い力でも爪下皮に継続的に力がかかると、爪下皮は徐々に後退してしまう。
普段の生活では、以下のシーンに気をつけたい。
- パソコンのキーボードを打つ
- 足に合わないシューズでの長時間トレーニング
- ハイキングによる損傷
- スキー、スノーボード
- ピアノを打つ
- 乾燥
爪や指の乾燥は、爪下皮を刺激する行為だ。体操選手など滑り止めを使用した後は、ネイルオイルとハンドクリームで十分な保湿をすることが有効だ。
また、爪と皮膚の間を棒状のもので掃除することはおすすめしない。皮膚を傷めることになり悪化を招く。
- 爪の清掃のしすぎ
- 外傷
- 爪甲下腫瘍
- 光線過敏症
屋外スポーツの場合、ドキシサイクリン、ソラレン系、フルオロキノロン系などの薬剤は、爪が日光に当たった後に爪甲剥離症を引き起こすことがある(光線性爪甲剥離症)
爪甲剥離症の注意事項
爪甲剥離症は悪化させないことが一番大切である。何かの拍子にひっかけてしまうなどの外的衝撃で悪化させないよう、剥離した部分の爪は短く切りたい。
また、一度浮いた爪は皮膚と密着していないため、外的衝撃で割れやすくなることも覚えておきたい。
剥離した部分には、爪と皮膚の間に隙間が生じているので、細菌が入らないよう消毒をし、定期的に外見からの爪の変化を確認することが大事だ。
爪甲剥離症は、真菌感染症の発生リスクが高くなる。湿気は菌の温床となるので、爪を乾燥した状態に保ち、爪に抗真菌薬を塗ることが有用だ。
爪甲剥離症の治療方法・経過観察
これまで見てきたように爪甲剥離症には、多くの原因がある。治療には原因の特定とその原因に対しての適切なアプローチをすることが重要である。
- カンジダ感染による場合は、抗カンジダ剤を、その他の場合は、副腎皮質ホルモン薬を外用。
- 水仕事や洗髪の際は、ゴム手袋やシャンプーブラシを使う。
- 全身性の病気や薬剤による原因の場合は、それぞれに応じた治療を行う。
- マニキュアが原因の場合は、マニキュアを控える
- 甲状腺機能の異常が原因なら、甲状腺機能を回復させる治療を行う。
- 真菌症は、抗真菌薬
- 乾燥の都度、ネイルオイルとハンドクリームでケアをする。
治療中、万が一、外見の変化や違和感があれば、病院に行くことをおすすめする。
例えば、顕微鏡でカンジダの有無、血液検査で貧血や甲状腺機能の異常がないかを確認するべきだ。病原性でなければトレーニング生活を続けながら経過を観察する。兎にも角にも爪甲剥離症は、長期的な治療となるので辛抱強くいたい。
爪甲剥離症は、剥がれた爪が再度指に密着することはない。
ただし、爪が伸びていく過程で剥がれた部分は爪先へと移動する。最終的には指から除去することが可能だ。
アスリートネイルトレーナーによる対処
病原性でないことが確認できれば、剥離した部分の大きさや場所により、保存法で行うか、剥がれた部分を切除する対処を行う。切除した場合は、失った爪と同じ大きさの人工爪をジェルで形成する。
悪化させないようにアスリート自身で爪を短く切るケースもあるだろうが、残った爪の長さによっては、トレーニングやプレーに違和感が残るだろう。それではトレーニング効率が良くない。
競技や競技のポジション、またはアスリート自身のプレースタイルに合った人工爪の形成は、いつもと変わらないトレーニングの質をキープし、一日も早い試合復帰ができる有用な対処手段である。
爪甲剥離症のまとめ
いかがでしたでしょうか?
- 爪甲剥離症は、女性に多い。爪が反り返っていると鉄分不足を疑う
- 爪甲剥離症になったら、外的衝撃で悪化させないよう、剥離した部分の爪は短く切る
- トレーニング後、乾燥したらネイルオイルとハンドクリームで都度ケアをする
- 日常生活での水仕事や洗髪の際は、ゴム手袋やシャンプーブラシを使う
- 人工爪の形成は、トレーニングや試合復帰に有用な手段である。
爪甲剥離症は、今ある爪が剥がれてしまっている症状だ。新しく生える爪は、しっかりと指に密着して生えることが期待できる。爪の生え変わり周期は、手で約5〜6ヶ月、足で約1年。爪の主成分であるタンパク質をよく摂るアスリートは手で約3〜4ヶ月、足で約6ヶ月と早く伸びる人もいる。長期的な付き合いの中での治療となるので、剥離した爪が健康な爪に置き換わるのを待ちながら、悪化させないように定期的なケアが求められる。
爪の各部位の名称や機能については、以下の記事を参照いただきたい。
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