ロッカーファンクションとは?骨と筋肉と爪が果たす走力・歩行力UPの役割

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「なんか人より歩くのが遅いかもしれない」
「たった2kmしか歩いてないのに足が痛い」
「早く歩くと頭がガンガンしてしまう」

もしあなたにそんな経験があるなら、それは歩行時に足をうまく使えていないからかもしれません。

人間は二足歩行ができるようになり、手で文明を築き、足は二足歩行でバランスを崩さず、衝撃吸収ができる骨格の仕組みを手に入れました。

しかし、その骨格の仕組みをうまく使えていないために、歩行が遅く、足が痛くなり、頭がガンガンしてしまうことが考えられるのです。

その骨格の仕組みを、ロッカーファンクション(=ロッカー機能)と言います。

ロッカーファンクションをうまく機能させることで、スポーツパフォーマンスをアップさせ、日常生活でも足の疲れを軽減にとても役立ちます。

ロッカーファンクションとは、一体何なのか?
なぜロッカーファンクションをうまく使うと疲れないのか?
どうしたらロッカーファンクションをうまく利用することができるのか?

今回の記事では、スポーツや日常生活で大変重要なロッカーファンクションについて図解付きで解説します。また、ロッカーファンクションと爪の極めて重要な関係をお伝えします。

この記事はこんなことを書いています

  • ロッカーファンクションは、どんなものか?
  • なぜ、ロッカーファンクションを使えると早く歩行できるのか?
  • ロッカーファンクションの力を100%引き出す爪の使い方とは?

ロッカーファンクションとは?

人間の歩行は、足が地面に接地した時に、踵の骨で前に転がったり、くるぶしや足指の関節部分が振り子の支点となり、重心が前にスムーズに移動していきます。このような動きをロッカーファンクションと言います。

ロッカーとは写真のロッカーチェア(=ロッキングチェア)のロッカーから、ファンクションは「機能」という意味です。つまり、「転がるように前に動く機能」と捉えられます。

人間の足の骨格では、踵、足関節、中足趾節間関節(MP関節)の3つが回転の軸となり、振り子運動の要領で、重心を前に移動させることでスムーズな歩行ができます。

ロッカーファンクションには、3つの回転軸がある

人間が歩行する時の足の役割は、次の3つがあります。

  1. ヒールロッカー(Heel rocker)
    踵が、地面に接地する
  2. アンクルロッカー(Ankle rocker)
    足裏全体を支点に、重心が前に移動する
  3. フォアフットロッカー(Forefoot rocker)
    足指の付け根を支点に、踵が地面から離れ、前に蹴り出す

この3つの動きは、それぞれ別々の回転軸があります。重心が前に移動するとともに回転軸が1から2、2から3と次々に移ることでスムーズな歩行ができるようになります。

回転軸と転がりがうまく機能しないと、重心移動で前に進むのではなく、筋力だけで前に進むことになります。つまり、エネルギーロスが大きく、疲れやすい歩行をしていることになります。

それでは、この3つの回転軸の働きを詳しく図説付きで解説しましょう。

ヒールロッカーの特徴とは?

最初の回転軸は、ヒールロッカー(Heel rocker)です。ヒールとは、踵(かかと)の意味です。

ヒールロッカーとは、踵の骨の丸みを利用して、踵を支点に回転します。踵が接地した瞬間から前方への回転が始まります。

また、骨の丸みで回転するので、他の2つのロッカーと違って、関節運動ではありません。

ヒールロッカーの役割

ヒールロッカーの役割は、2つあります。

  • 接地の衝撃を吸収する
  • 前方への重心移動の起点となる

ヒールロッカーで最も重要な役割をする筋肉は、前脛骨筋です。

前脛骨筋は、足関節を背屈させ踵からのスムーズな接地に役立っており、着地の衝撃を吸収する一助になっています。また、足底が地面に接地するまでの速度を調整し、着地後は足を前方に引っ張る働きをしています。

人間の歩行の接地では、体重の約1.2倍~1.5倍の負荷がかかると言われています。着地の衝撃をうまく吸収することで、足より上の関節や臓器、脳へのダメージを最小限に留めることができます。

ヒールロッカーの後期では、踵から足底が接地します。この時、足の関節は背屈位から底屈位になりますが、前脛骨筋など背屈筋群の遠心性収縮によって、足の関節が底屈するのを抑える働きもしています。

足底が完全に接地するとヒールロッカーの役割は終わり、アンクルロッカーにバトンタッチします。

アンクルロッカーの特徴とは?

二番目の回転軸は、アンクルロッカー(Ankle rocker)です。アンクルとは、足首の意味です。

アンクルロッカーとは、足底が完全に接地した後、足首の関節を中心とした回転運動です。これにより膝が伸び切り、体の重心を最高位まで持ち上げ、次なる前方への推進力に変えます。

アンクルロッカーの役割

アンクルロッカーの役割は、2つあります。

  • 重心を持ち上げ、最高位まで移動させる
  • 最高位に達した後、重心を下に下げ推進力に変える

アンクルロッカーでは、多くの筋肉が連携をして、重心を最高位まで移します。

ヒールロッカーの終盤では、膝は少し屈曲した状態となっていますが、前方への推進力を得るためには膝が伸展し、重心を最高位に持ち上げなければなりません。

重心を持ち上げるには大変なエネルギーが必要ですが、その時の膝関節の伸展は、股関節と足関節が連携した動きをとることによって起こります。

アンクルロッカーの初期では、下腿三頭筋など底屈筋群の遠心性収縮によって脛骨の前方回転にブレーキがかかります。同時に股関節では大殿筋や大内転筋により大腿骨が伸展方向に回転します。

つまり、スネ(脛骨)にブレーキをかけ、ヒールロッカーから受け取った推進力を利用して、モモ(大腿骨)がスネの上に乗り上げるような形となるのです。

重心が最高位に達し、最高位から下がってくるとアンクルロッカーの役割は終わり、最後のフォアフットロッカーに引継がれます。

フォアフットロッカーの特徴とは?

最後の回転軸は、フォアフットロッカー(Forefoot rocker)です。フォアフットとは、前足部の意味です。

フォアフットロッカーとは、中足趾節間関節(MP関節)を回転軸として、重心をさらに前方へ移動させる動きです。踵が上がり、足指で蹴り出す歩行の前進力を得ます。

フォアフットロッカーの役割

フォアフットロッカーの役割は、2つあります。

  • 踵が上がり、さらに前方への回転力を生み出す
  • 反対側下肢が前方への振り出す時間を作り、接地の準備を整える

アンクルロッカーからフォアフットロッカーに移る時、もう片方の足は、前へ振り出して踵接地の準備をしている段階です。

もしアンクルロッカーのままだと、重心が下がるスピードが早く、反対の足をきれいに振り出すことができません。

そのため、回転の軸を足首から前足部に変えることで、重心の下降スピードをゆっくりにすることができ、スムーズに踵接地する時間を確保することができます。

フォアフットロッカーで大切な筋肉は、腓腹筋です。

腓腹筋が収縮して地面を蹴ることで、フォアフットロッカーの回転力との相乗効果で、前方への強い推進力を得ることができます。腓腹筋は、この時、最大収縮の約8割もの強い働きを発揮します。

フォアフットロッカーで重要な爪の働き

ロッカーファンクションで大切な「関節と筋肉の働き」は、3つの軸による回転運動を利用することで前方への推進力を得るものでした。

しかし、最後に前に足を蹴り出しているのは、足指です。そのため、足指は腓腹筋とともに、推進力をパワーに変える重要な役割が求められています。

もし足指を怪我してしまっていたら、痛みに対する体の防御反応が働き、前に蹴り出す力は弱まってしまうでしょう。これでは、体の構造が得た前進力を発揮することができません。

アスリートサロン では、たびたび「爪圧」について触れてきましたが、もしあなたが1秒でも早く走り、1cmでも高くジャンプしたいなら、爪圧を100%発揮させることがとても重要です。

爪圧が適正に機能しなければ、ロッカーファンクションで得た前進力を活かすことができず、パワーロスが生じてしまいます。その結果、スポーツパフォーマンスが悪くなり、日常生活においても足がすぐに疲れてしまうでしょう。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?

  • 人間の二足歩行は、ロッカーファンクションが働いている
  • ロッカーファンクションは、3つの回転軸がスムーズに連携し前進力を生み出している
  • ロッカーファンクションは、骨と筋肉と爪が大切な役割を持つ体の機能である
  • ロッカーファンクションの推進力を最大に活かすには、爪が非常に重要

「歩くのが遅い」「足がすぐ痛くなる」「歩くと頭がガンガンする」これらの悩みは、ロッカーファンクションの機能が低下し、重心移動を推進力に変えられず、筋力だけで歩いていることが一因しています。

ロッカーファンクションは、足のアーチとも深い関係があります。足のアーチが良い状態でないと、接地の際の衝撃吸収ができず、回転運動の起点を作り出せません。

人間の全身の骨の数は、約206個。このうち、足には片方で28個、左右合計で56個と全身の四分の一もの骨が集まっています。またロッカーファンクションはリハビリの世界でも非常に重要視されています。それほど重要な体の構造と機能を理解することで、スポーツパフォーマンスの低下を防ぎましょう。


参考文献:正常歩行の下肢衝撃吸収機構における足関節機能の検討 – 古谷 友希、柊 幸伸(J-Stage)
求心性収縮及び遠心性収縮における筋収縮特性 – 寺田 茂、宮田 伸吾、松井 伸公

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