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梅雨から夏にかけて湿気が増してくる季節になりますね。爪には、この季節特有のある症状が多くなってきます。
それはグリーンネイル。その名前の通り、爪が緑色になってしまう症状です。一般的には女性のおしゃれでジェルネイルをしている人がなってしまいますが、スポーツとまったくの無縁ではありません。
近年では、ジェルで爪を補強する野球選手もいます。また爪が緑色になってしまうと、体操やフィギュアスケートなど演技種目では見た目も良くありません。
グリーンネイルは、どうしてなってしまうのか?その原因を詳しく解説し、誰にでもできる予防方法も併せて紹介していきます。ぜひ実践して、マスターしましょう。
この記事はこんな人におすすめ
- グリーンネイルになる原因や予防方法を知りたい人
- グリーンネイルになった後の対応方法を知りたい人
- 毎年グリーンネイルに悩まされる人
グリーンネイルとは
グリーンネイルは、名前の通り、爪が緑色に変色することからそう呼ばれています。その正体は緑膿菌という細菌です。緑膿菌は狭くて、じめじめと湿気がある場所に好んで住みつきます。別名で 緑色爪(りょくしょくそう)とも呼ばれています。
でも爪には湿気がないじゃないか?と思われる方もいらっしゃいますが、おっしゃる通りで健康な爪では、グリーンネイルはなりにくいです。
緑膿菌が住み着くのは、二枚爪、爪割れ、爪甲剥離 などの症状でできた爪の隙間です。ここに水分が入り込むと緑膿菌が好む環境ができるのです。
つまり、スポーツシーンで言うと、爪が荒れた状態で水に触れたり、通気性の悪いグローブやシューズを長時間履いて汗によるむれを伴ってしまう場合は要注意です。
グリーンネイルになりやすいスポーツ
グリーンネイルになりやすいスポーツは、主に次のような競技があります。
- 水泳
- 水球
- 野球
- スキー
- スノーボード
- 通気性の悪いグローブを使用する競技
- 通気性の悪いシューズを長時間履く競技
グリーンネイルの症状
グリーンネイルは、初期症状からすぐに緑色になるわけではありません。初期症状はクリーム色から黄色くなり、しだいに黄緑から緑色になっていきます。
緑膿菌は、緑色色素であるピオシアニンと言う緑色色素を菌体外に分泌しますが、この緑色色素が爪を緑色に変色させています。つまり、緑色になっている部分に緑膿菌がいるということ。
時間が経っても、一度緑色になった爪の部位が自然に元の爪のピンク色に戻ることはありません。色素が爪に定着しているため、爪が伸びるに従って、緑色になった部位が爪の先端に押し出されるのを待つばかりとなります。
またグリーンネイルは痛みやかゆみはほとんどありません。稀に爪が薄くなっている方は、痛みを感じる場合もあるそうです。
他の爪や他人へ感染することはありませんので、安心してください。
グリーンネイルの主な原因
それではグリーンネイルの原因を詳しく解説していきましょう。グリーンネイルは次のような人に多く起こります。
- 爪割れ、爪甲剥離がある人
- 水に触れることが多い人
- 免疫力が低下している人
グリーンネイルの原因の緑膿菌とは?
グリーンネイルは、緑膿菌が原因とお伝えしましたが、そもそも緑膿菌とは何でしょうか?
緑膿菌
緑膿菌は、日常生活の中で普段からいる常在菌で、細菌の一種です。健康な人の皮膚にも普通に存在している細菌ですが、体が健康な状態であれば人に危害を加えることはありません。
逆に、緑膿菌は他の常在菌と一緒になって細菌叢という集まりを作って私たちの健康に役立つ活動をしています。
「叢」と聞いて 腸内フローラ を連想した方は、とても鋭い。腸内フローラ は 腸内細菌叢 とも呼ばれていますが、腸内細菌が集まりを作り細菌の多様性を良いバランスで保ちながら、私たちの健康維持に良い影響をもたらしているのです。
また緑膿菌は、狭くて湿気が強い環境を好みます。一部のネット上では、グリーンネイルは「爪のカビ」と言われていますが、それは誤りです。緑膿菌は細菌で、カビが分類される真菌とは異なります。緑色のイメージがカビを連想させるのだと思いますが、正しい知識をぜひ覚えておきましょう。
(参考)目で見る真菌症シリーズ 2 - 千葉大学真菌医学研究センター
グリーンネイルが発生する場所
グリーンネイルは、発生する場所が大きく2つあります。
- 爪とジェルネイルの間
- 爪と皮膚(爪床)の間
緑膿菌は、狭くて湿気が強い環境を好むとお伝えしました。この狭い場所というのが、上で挙げた2つの隙間です。
1.爪とジェルの隙間
最近では野球選手を中心に爪をジェルネイルで補強する選手が出てきました。
ジェルネイルは、爪の表面にジェル状のアクリル系樹脂を塗布し紫外線を照射して硬化させ爪に密着させます。できあがったジェルはプラスチックのように硬く、人工爪として使用されています。
しかし、ジェルネイルは時間とともに爪の表面から少しずつ浮き上がってきて、完全な密着ができなくなります。緑膿菌は、この爪の表面とジェルネイルにできたわずかな隙間に住みつくのです。
ちなみに、美容やおしゃれ用のジェルネイルを、スポーツの補強のために使用すると自爪の負担が強すぎるので注意が必要です。
2.爪と皮膚(爪床)の隙間
一方、爪と皮膚の隙間は、爪甲剥離 がある方に多く見られます。
水を触っていると剥離した 爪甲 の下までは意識をしないとなかなか乾燥させることができません。乾燥しきれずじめじめした爪と皮膚の隙間に緑膿菌が住みつき繁殖します。
また 爪甲鉤湾症、巨爪症 などの爪が上方向に伸びてしまい 爪甲 と 爪床 の間に隙間ができる病状でも緑膿菌の温床になる可能性があります。
グリーンネイルの注意事項
グリーンネイルで見逃せないのが、実は免疫力との関係です。
アスリートなど日常生活より過度なトレーニングや練習した後は、一時的に免疫力が低下しますが、免疫力や体力が落ちてくると細菌の繁殖力が優位になり、病状を引き起こすことがあるからです。
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グリーンネイルは免疫力が低下するとかかりやすい
先程、人間の皮膚にいる細菌叢について解説しましたが、細菌叢も 腸内フローラ と同じことが言えます。腸内フローラには「日和見菌(ひよりみきん)」という善玉菌と悪玉菌の形勢を見て有利な方に味方する細菌がいますが、実は緑膿菌もその一つです。
皮膚にいる皮膚常在菌は、普段は皮脂や汗を食べて皮膚に必要な潤いを分泌してくれています。皮膚の善玉菌が肌を弱酸性のバランスに保ち、善玉菌が優勢なうちはウイルスから体を守ってくれています。
しかし、過度な疲労、筋ストレスの過多、睡眠不足など些細なことで、皮膚常在菌のバランスは崩れてしまいます。バランスが崩れ、善玉菌優位な状況が保てなくなると(=免疫力が低下すると)、その時に緑膿菌も活動を活発に始めていくのです。
このような緑膿菌などの日和見菌による体への悪影響は、日和見感染と呼びます。
水泳競技は特にグリーンネイルに注意しよう
水泳や水球などプールを利用する競技は、グリーンネイルには注意しましょう。
プールには塩素が含まれていますが、塩素は爪の乾燥を招いてしまいます。ターン時やパラ水泳の方はコースロープに手をぶつけてしまうなどして、爪割れ、爪甲剥離 の状態を引き起こしかねません。さらにトレーニング後は免疫力が一時的に低下している中で、身体中が濡れている状態。
水泳競技は、グリーンネイルになりやすい条件が揃っているので、練習後は気をつけてケアしましょう。
グリーンネイルの予防方法
ここまで見てきた通り、グリーンネイルになる条件は3つ。
- 隙間ができる
- 隙間に水分が残る
- 免疫力が低下している
グリーンネイルを予防するには、この3つの条件をなくすことで解決できます。
3番目はアスリート特有の条件とも言えますが、週に4〜5日ジムに通い強度の高い運動をする人も含まれると考えて良いと思います。
ひとつ一つ解説していきましょう。
グリーンネイルの予防① 爪との間の隙間をなくす
一番の予防方法は、爪との間の隙間をなくすことです。
爪割れ、爪甲剥離 にならないように爪のケアをしっかりすることはもちろん、二枚爪を放っておくのも良くありません。二枚爪は爪が乾燥している証拠とも言えるので、爪のダメージが小さいうちにネイルエッセンスやネイルオイルなどで爪をケアして爪に必要な潤いを保つことが大切です。
もし現在、爪に病状があり、爪が軟らかい、薄い、傷んでいる場合は、それ以上悪化させないようにいつも以上に注意をしましょう。
グリーンネイルの予防② 隙間に水分を残さない
2番目は、指先の水分はきれいに拭いて乾燥させ、清潔を保つことです。
手洗いやお風呂上がりの際、指先までしっかり水気を拭き取っていますでしょうか?爪の裏側までは、意識しないとなかなか拭き取れません。
自分でも気がつかないうちに爪甲剥離が進んでいて、グリーンネイルになってしまったという例はよくあります。今日から実践してみてくださいね。
また、そもそも水に触れないようにすることも効果的な方法です。
例えば、日常生活の水仕事ではゴム手袋などを使用して指先が濡れなければ、拭き取る必要もありません。ゴム手袋を使用すると、食器洗剤の成分で肌に必要な皮脂分も洗い流してしまい、皮脂バリアがボロボロになることもありません。
少し面倒に思うかもしれませんが、皮脂バリアを保つ、常在菌のバランスをキープする良い方法ですので、おすすめです。
グリーンネイルの予防③ 免疫力低下を防ぐ
3つ目は、体調を整えること。栄養バランスの良い食事を摂り、筋肉疲労を蓄積しないように心がけ、睡眠をとることです。要は身体のコンディションを整え、体内バランスをキープすることが大切です。
健康がキープできれば、皮膚にいる善玉菌の働きを助けることにつながり、緑膿菌に触れたとしても、緑膿菌が活動できないようにコンディションを導いていけます。
現在は、新型コロナウイルスが猛威をふるっていますが、手指消毒をした後も重要。過敏になって消毒する気持ちも分かりますが、過度な手指消毒は善玉菌の活動を抑えてしまう場合があります。手指消毒をした後は、ハンドクリームを使ってアルコールで失った皮脂分を整え、手肌のケアを徹底するようにしましょう。
もしグリーンネイルになったら
緑膿菌は細菌による感染症です。まずは皮膚科など医者に行きましょう。
ネット上では自分で削って緑色を落とす、という情報もありますが、これはおすすめしません。爪を削ることは、爪圧 の低下と爪割れのリスクを高めるからです。アスリートにとって爪圧を失うことは、自分で100%の力を発揮できない状態をつくっているに等しく、避けるべき行動です。
だから、ちゃんと皮膚科で治療してもらってください。その際、自分がアスリートであることを申告すると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
- グリーンネイルは「隙間」と「水分」で発症する
- グリーンネイルは、カビではなく、緑膿菌による感染症
- 水に触れた後は、水分を拭き取りケアすることが重要
- 爪ケアを毎日することで、グリーンネイルは予防できる
グリーンネイルは誰にでも発症する病気です。しかし、これまでもお伝えしてきたように「毎日自分の爪をチェックすること」で早期対処ができるようになります。爪のケアの基本ですね。
アスリートにとって、湿度が高くなってくる梅雨から夏にかけては、気温も上がり怪我しにくい季節とも言えるでしょう。しかし、その反面、気をつけるべき爪の病気があることは、ぜひ覚えて身体全体のコンディショニングに役立ててください。
爪の各部位の名称や機能については、以下の記事を参照いただきたい。
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