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日本人の実に約7割が悩まされていると言われている足のトラブル。その代表例が 巻き爪 です。
巻き爪と言うと、きつい靴やヒールを履いているのが原因だと言われていたように大人が抱える悩みと思いがちですが、実は今、子供でも巻き爪や外反母趾になることが増えています。
子供たちに何が起きているのでしょうか?
その問題を解説しながら、子供に良い 足育 について触れたいと思います。
この記事はこんな人にオススメ
- 足育という言葉が気になる方
- 子供の足の爪を切っていて、異変に気付いている方
- 子供にいろんなスポーツをさせたい両親
- 子供の足の成長変化を知りたい方
いま、子供の足に一体何が起きてる?
子供の足が今、徐々に注目を浴びてきています。それもそのはず、実は足のトラブルを抱える小学生が目立ってきているからです。
子供に見られる「浮き指」
小学生だけど 巻き爪 があったり、外反母趾 に悩む子、または発達が遅れていて土踏まずがほとんどない子など、子供の足のトラブルが着実に増えてきています。
その原因の一つが、今回解説する「浮き指」です。
兵庫教育大名誉教授の原田碩三さんの調査では、5歳児で「浮き指が1本もない」子は1980年は93%いたが、2000年は48%、04年は8%になった。幼児期から小学校低学年にかけてが足の形の基礎ができる時期という。
引用:ヨミドクター(2015年12月7日)
浮き指は、直立して立った時に、足の指が地面から浮いている状態のこと。
足の指を使えていないことが原因して起きます。扁平足にも関係が深く、足のアーチ構造の形成がなされていない子供によく見られます。
体重を支える足のアーチ構造やしっかりとした骨をつくるにあたり、活発な運動が子供の足の成長にプラスになるのは想像できますよね。
そこで注目されているのが「足育」です。
子供の足の成長と「足育」
足育とは?
人間が本来持つ正しい足の構造を獲得し、足の正しい育成を促進することです。
足の育成を促進するためには「適切な靴」を履いて足の機能を働かせる状況をつくり、足のいろんな動きを使う「適度な運動」を行うことが大切です。
子供の足の成長速度と靴選び
大人になるとなかなか分かりませんが、子供の足はとてつもない早さで成長します。
0〜3歳までの子供では、1年間に約2cm、3歳以降の子供でも1年間で約1cmもサイズが大きくなると言われています。
この期間に「適切な靴」を履かせて、「適度な運動」をすることで、スポーツに適した健全な子供の足の成長が可能になります。
しかし、幼少期はまだ足の骨も柔らかい状態なので、本当なら窮屈できつい靴もきつくないと感じる子供もいるでしょう。
靴が小さいと靴の中で足が窮屈になり、逆に大きいとぐらつくので、歩き方にまで悪影響を及ぼしてしまいます。その状態が長く続くと正しい歩き方が身につけられず、最初にお話した浮き指に繋がってきてしまうのです。
靴選びで最も大切なのは、子供の成長を妨げないようにすること。
そのためには、靴を履いてかかとをトントンと蹴り、かかとを合わせた時に爪先が約1cmの余裕がある靴が良いでしょう。
特に0〜3歳の子供は1年間に2cm伸びますから、だいたい3ヶ月ごとに子供の成長に合わせて、こまめに靴選びをすることが重要になってきます。
靴選びができれば、しっかりと足指を使った運動ができるようになり、ベストな「足育」を導いてあげられます。
足育に大切で基本的な2つのコツ
適切な靴 | インソール(中敷)を外して、かかとを合わせた時に、爪先に約1cmの余裕がある靴 |
適度な運動 | かけっこ、ボール遊び、ジャングルジムなどいろんな動作をして、自然と足指を使いバランス感覚を養う運動 |
足の発育だけではなく、6歳までの幼少期に運動することは、運動神経の発達や脳の発達にも大きく影響してきますので、まずは運動が楽しい、運動が好きと子供が思うことが大切。
そうなるような運動を、遊びながらすることで良い「足育」になるでしょう。
最近では、足育に力を入れる私立の幼稚園や小学校が増えてきていますので、気になる方はぜひ調べてみましょう。
子供の足の特徴と、大人の足との違い
子供の足は、大人の足と比べて、次のような特徴があります。
- 土踏まずがない(未完成の状態)
- 足幅が広い
- かかとが内側に傾いている
- 骨が柔らかい(骨は正しい位置にあるが軟骨状態)
- 指が扇の形状をしている
こう聞くとバランスの悪い足のように思いますが、生まれた後も足は未完成だからです。成長と運動とともに整った足が形成されていきます。
足の形は、6歳までにほぼ完成する
生後直後から横になりながら手足を少しずつを動かし、首が座ってきたら寝返りができ、ハイハイをするようになります。足以外の筋肉も使って少しずつ歩く準備をしています。そして、つかまり立ちを経て、自分の足で自立して歩いていきますが、この間にも様々な運動をしていることが分かりますよね。
このように成長につれて、足に関わる運動行動がどんどん変化していくのが子供の足の特徴です。
この変化を受けて、個人差はありますが、一生の足の形は6歳くらいまでに約8割が完成すると言われています。
年齢 | 詳細 |
---|---|
3歳まで | 足の骨は軟骨状態。歩くようになっても足全体が地面につくペタペタ歩きで、重心移動はない。 |
3〜7歳頃 | 走る、跳ぶ、投げるなどの基本的運動を覚える。足のアーチ形成に重要な時期。足指を使った歩き方とたくさん運動させることが大切。 |
7〜10歳頃 | 骨化が進み、骨格も基礎が完成してくる時期。基本的運動も習得して、いよいよ一人前の大人に向かってスタートを切った子どもたち。 |
〜18歳 | 骨化が完全に終わり、足が完成する頃 |
子供の足の発達と爪の関係
これまで見てきましたように子供に合った適切な靴を選べていないと、足の骨格形成が理想的になされません。最近の子供に外反母趾や巻き爪が見られるのは、靴によって足の発達が阻害されてしまったからとも言えるでしょう。
また一度外反母趾や巻き爪になってしまうと、指に体重をかけるのが痛くて嫌がってしまいます。そうすると外で元気に遊んでいても、実は足指を使わない運動行動をしていて、足のアーチ構造の形成が遅れてしまう一方です。
足のアーチが形成されないと、扁平足化してしまい、浮き指になる子供が出てきます。そして、浮き指は、巻き爪の原因にも繋がります。
外反母趾や巻き爪が痛い
↓
足指を使わない
↓
足指が退化し、浮き指になる
↓
外反母趾や巻き爪が進行する
この悪循環を断ち切るには「適切な靴」と「適度な運動」で健全に足育していくことが必要です。
子供が運動が嫌いにならないためにも、浮き指と爪の状態もチェックすることをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
- 今、子供でも外反母趾や巻き爪になる異変が起きている
- その原因は浮き指で、小学校や幼稚園で足育が注目されている
- 子供の足は、6歳までに一生の形状がほぼ完成する
- 足育は「適切な靴」と「適度な運動」が大切
小学校や幼稚園での朝礼で、左右に揺れている子供やじっとしていられない子供がいたら、足指に体重をかけられていないからバランスが取りづらく、姿勢を保てないのかもしれません。
子供の「足育」には、日頃からの親の観察も大事なポイントになりますね。
(参考)
子どもの体力低下と 「姿勢教育」 – 別所龍二
令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査報告書 第3章 基礎集計 1 小学校児童の調査結果 – スポーツ庁(2019年12月)
子どもの身体と足の特徴 – ASICS