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日本ではネイルと言うと、一般的に女性が爪にデザインを施しておしゃれをしたり、ファッションの一部として楽しむネイルアートのイメージが強くあります。
しかし、爪にはファッションとしての「美」の他、人間の基本動作を支える「機能」という役割が備わっています。
日常生活で意識することはほとんどありませんが、私たちは爪を毎日使っています。歩く、掴む、立ち上がる、拾う。普段は意識することがないこのような日常動作は、常に爪にかかる小さな力を感じ取り、微妙な力加減を調整できる機能があるからこそ不自由なくできるのです。
スポーツでは、この「爪の機能」が重要です。そして、いつでも機能を100%発揮できるように爪をメンテナンスする技術が、アスリートネイル です。
この記事では、ファッションのネイルアートと アスリートネイル の違いを解説し、それぞれの目的を明らかにします。
この記事を読むメリット
- ネイルアートと、アスリートネイルの違いが明確に分かる
- ネイリストと、ネイルトレーナーの違いが分かる。
- 爪を知ることで、スポーツと爪の機能の関係を知ることができる
ネイルアートとアスリートネイルの違い
まずは、こちらの表をご覧ください。ネイルアートとアスリートネイルの違いを簡潔にまとめました。
ネイルアート | アスリートネイル | |
利用シーン | 美容 | スポーツ |
目的 | おしゃれ ファッション性 | 機能性 パフォーマンス性 |
施術者 | ネイリスト | ネイルトレーナー |
手段 | 爪の装飾が中心 | 爪のケアが中心 |
トレンド | 自爪の健康を保つ | コンディショニング 怪我予防 |
両方とも爪に施す技術ですが、全く別の違いがあることが分かります。それぞれもう少し分かりやすく解説していきます。
ネイルアートとネイリストの成り立ち
ネイルアートは、爪にデザインを施しておしゃれを楽しむ美容。
ネイリストは、おしゃれを目的に、爪に装飾をする施術者のことを言います。
ネイルアートの歴史
19世紀、欧米では女性の身だしなみとしてのマニキュアが普及しました。健康的な美が良いとされマナーとしての「爪のケア」が確立し始めたのです。
今のようなネイルアートが爆発的に普及したきっかけは、1970年代、ハリウッド映画の特殊メークアップチームからと言われています。当時は、歯科材料のレジンを使い、ネイルを伸ばすエクステイションが大ブレイクし、瞬く間にネイルサロンが広まりました。
その波は日本にも。1985年、日本ネイリスト協会が設立され、日本でネイリストという呼び名が定着します。
2000年代に入ってからは、より手軽なジェルネイルが普及。ブームを一層加速させ、ネイリストも社会で広く認知されるようになりました。
日本でのネイルのイメージ
日本でネイルと聞くとおしゃれのイメージが強いのは、ハリウッド映画以降のデザイン主体のネイルが輸入され、一気に普及したからと考えられます。
奈良・飛鳥時代より紅殻や爪紅を使って爪の化粧をしていた日本では、爪のケアに重きを置かれませんでした。ケアの文化の上にアートが成り立った欧米との差がここにあります。
マニキュアとペディキュアの語源
ちなみに、「マニキュア」はラテン語で「マヌス(手)」と「キュア(お手入れ)」を合わせた意味。ペディキュアは「ペディス(足)」と「キュア(お手入れ)」の意味です。
日本ではおしゃれや装飾のイメージがあるマニキュア、ペディキュアもケアの発想を語源に持つことは、興味深い史実です。
アスリートネイルとネイルトレーナー
それでは、アスリートネイルとは、何でしょうか?
アスリートネイルとは?
アスリートネイルは、爪の保護と強化をするものです。アスリートの競技力向上のために爪のケアやメンテナンスする技術ですので、おしゃれや装飾は一切行いません。
スポーツ選手の爪には、一般の人と比べて何倍もの負荷がかかっています。当然、爪がダメージを受け、ボロボロになり、傷病を負うなど、爪に悩むアスリートは多くいます。
アスリートには、繊細な感覚や常にベストコンディションが求められます。爪のメンテナンスは、体・心のメンテナンスと同様に非常に重要です。
アスリートの爪の状況を常に把握し、それぞれ最適な施術を行うことにより、事後の応急処置ではなく、未然にケガを予防することができます。
見過ごされがちな体のトラブルの原因
「医者に行ったけど、なかなか治らない」「慢性的な関節痛を抱えている」そんな経験ありませんか?
アスリートは、日常生活からは考えられないほど過酷な状態で練習をします。その結果、膝や腰の痛みや体の歪みが生じたときにその部位をケアやメンテナンスしますが、実は、深爪などの爪のトラブルが原因である事例も多くあります。
体のケア・メンテナンスと同時に、爪のケアを日頃のメンテナンスに取り入れ、ケガのないよう予防していくことが何より大切です。
現代スポーツの新記録は「爪」から生まれる!?
世界記録が更新され続ける現在、アスリートはミリ単位で記録に凌ぎを削っています。そのために大切なのは、全身のバネを使いエネルギーを力に変えること。
そして、エネルギーは体の最末端から放たれます。野球のピッチャーなら手の指先、ランナーなら足の指先です。
指先に集まったエネルギーを、効率良く力に変えるのが、爪です。
爪は、スポーツパフォーマンスを左右する
このように爪は、スポーツのパフォーマンスに影響を及ぼす大切な部位。だからこそ、野球、サッカー、バスケットボール、ランニングをはじめとしたトップアスリート界で、爪のコンディショニングが注目されています。
そして、爪のコンディショニングを専門に行うトレーナーが、ネイルトレーナーです。
ネイリストとネイルトレーナーの違い
ネイルトレーナーとは、一般社団法人アスリートネイル協会が認定した、アスリートネイルを専門に施す施術者のことを言います。
ネイルトレーナーは爪のケア・メンテナンスの技術に加え、爪学・スポーツ栄養学・スポーツ医学の知識を体系的に身につけ、アスリートネイルトレーナー認定試験に合格し活動をしています。
ネイリストとの一番の違いは、「爪の機能に特化」してスポーツパフォーマンス向上に寄り添えるアスリートのパートナーであること。
ネイルトレーナーは、アスリートネイルの重要性を社会的に広く普及するために、各医療期間や教育施設において、子供やスポーツ指導者などに伝授しています。
アスリートの爪を、アスリートと一緒にコンディショニングしていくことでアスリートの目標を達成に導く。常にスキルアップに励み、正しいアドバイスができるように努めているという。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
最初の表をもう一度見てみましょう。より深く違いがはっきりしてきたと思います。
ネイルアート | アスリートネイル | |
利用シーン | 美容 | スポーツ |
目的 | おしゃれ ファッション性 | 機能性 パフォーマンス性 |
施術者 | ネイリスト | ネイルトレーナー |
手段 | 爪の装飾が中心 | 爪のケアが中心 |
トレンド | 自爪の健康を保つ | コンディショニング 怪我予防 |
- ネイルアートは美を、アスリートネイルは機能を追求している
- ネイリストは美容の味方、アスリートネイルはアスリートのパートナー
- 膝や腰の痛みや体の歪みは、爪が原因の場合がある
- ミリ単位での記録を更新するのに、爪は重要
人間は爪がなければ、指先を繊細に動かすことができません。人間の祖先が道具を作り出すことはもちろん、火を起こすことすらできなかったかもしれません。そう考えると、現代社会で高層ビルが建ち並び、不自由ない文明が発展しているのも爪のおかげと言えるかもしれません。
アスリートネイルは、爪が持つ力を最大に引き出し、スポーツパフォーマンスに役立てる知識体系とメンテナンス技術を提供する。伸び悩んだアスリートこそ、ぜひ一度取り入れてみては、いかがでしょう。
※アスリートネイル、ネイルトレーナーは、一般社団法人アスリートネイル協会の登録商標です。