コロナウイルスで外出自粛が続いている中、歩くことが少なくなっていませんか?足の爪は立ったり、歩いたりして指の腹からの刺激がないと、爪はどんどん巻いてきてしまいます。座っている時間が長くなると、知らない間に巻き爪予備軍になっているかもしれません。
また、女性はおしゃれでジェルネイルしていた人も、コロナ期間中は自爪で過ごされていたのではないでしょうか。いつもよりも自爪に向き合う時間が増え、痛みが気になっている人もいるのでは?
これを機に爪のケアについて見直してみませんか?
爪は、髪の毛と同じで一生伸び続けます。年齢によって差はありますが、いくつになっても爪の健康をキープする方法は同じ。しっかり知識をつけてケアすれば、50代でも20歳に劣らず爪の機能を維持し、健康をキープすることができます。
そこで今回は、爪を若く丈夫に保つ秘訣に迫っていきます。
爪は20歳がピーク!?その理由は?
爪を若く保つ秘訣と言いましたが、そもそも爪にとって年齢は関係あるのでしょうか?
まずは爪の基礎的な生理からおさらいしていきましょう。
爪の成長の基礎知識
爪が伸びるスピードは、手は1日に約0.1mmしか伸びません。1ヵ月でやっと約3mmです。ですので、根元からつま先まで生え変わるのに約6ヵ月かかります。
足の場合は、もっと遅くて手の約2倍も時間がかかります。1日で約0.05mm、1ヵ月で約1.5mm、生え変わるのはなんと1年から1年半かかります。
ちなみに、これは20歳頃の成人を例としたデータです。実は年齢によって爪が伸びるスピードは違うのです。
年齢と爪の関係
爪は生まれる前、胎児のうちから作られ始めています。
爪の長さが1cm〜1.5cmくらい伸びてくると、お腹の中で既に角質化が始まってきます。そして、20週目を迎える頃には爪ができてきます。
生まれた後は、年齢を重ねるに連れて伸びるスピードは速くなり、20歳の頃に手の場合で1日に約0.1mmくらい伸びるようになります。
その後は、徐々に伸びるのに時間がかかるようになり、50歳頃になると成長スピードは、幼児の伸びに劣ってくるようになります。
それでは、実際にはどのくらいの変化なのでしょうか?そのヒントを爪の研究論文から見てみましょう。
爪が伸びる年齢と季節
次の表は、年齢による爪の伸びを、四季ごとにまとめたものです。
四季の10日間標準成長値
単位:mm
年齢 | 春 | 夏 | 秋 | 冬 |
---|---|---|---|---|
10歳 | 0.979 | 1.063 | 0.851 | 0.783 |
15〜18歳 | 1.062 | 1.156 | 0.932 | 0.857 |
25〜35歳 | 1.051 | 1.145 | 0.931 | 0.866 |
60〜79歳 | 0.738 | 0.798 | 0.671 | 0.644 |
出典:爪の正常な成長に関する研究(人類学輯報) - 安永 朋喜 著
20歳前後で一番伸びるスピードが速いのが分かりますね。
一般的に加齢により、爪甲は厚みを増し、前方へ伸びるスピードは遅くなると言われています。また、冬より夏の方が伸びが早く、男性の方が女性よりスピードが速い。親指と小指を比べると親指の方が早く伸び、よく使う指ほど伸びるのが速くなります。
夏は、爪を生まれ変わらせるチャンス!
夏は爪が伸びやすい季節。だからこそ、爪ケアをしっかりすることで健康な爪をどんどん育成し、ダメージを受けた爪を生え変わらせるチャンスの季節なのです。
爪が伸びる速さと、爪母の関係
爪母 は、爪の根本にある部位で爪を作っている爪の工場です。爪母は普段は皮膚の下に隠れていますが、時折、顔を覗かせています。
爪を見てみてください。爪の根元に白っぽい半月状の形が見えていませんでしょうか?
これは 爪半月 と言って、生まれたばかりの新しい爪です。生まれたての爪は水分を多く含んでいるから白く見えるのですが、人によっては、皮膚の下に完全に隠れてしまう場合もあります。
爪半月の大きさは爪の成長スピードと相関があります。爪半月が大きいほど爪がよく作られているので成長が速いということですね。
爪半月の出現頻度
単位:%
年齢 | 親指 | 人差し指 | 中指 | 薬指 | 小指 |
---|---|---|---|---|---|
1歳未満 | 28〜65 | 0〜22 | 0〜22 | 0〜1.7 | 0〜1.7 |
5歳 | 56〜76 | 16〜39 | 10〜36 | 8〜27 | 5〜22 |
10歳 | 71〜84 | 43〜76 | 34〜75 | 24〜66 | 22〜51 |
17歳 | 81〜100 | 62〜92 | 48〜90 | 44〜76 | 25〜60 |
50歳 | 51〜86 | 51〜70 | 46〜63 | 32〜55 | 19〜37 |
出典:爪 基礎から臨床まで 改訂第2版 - 東 禹彦 著
この表を見ると、17歳の親指で爪半月が一番よく見られます。爪の育成が活発な証です。
しかし、40歳頃から爪半月はだんだん見られなくなり、50歳頃になるとその出現頻度が半分程度になることが分かりました。
加齢に伴う爪の変化
爪が伸びる速さは、年齢とともに遅くなることが分かりましたが、それ以外に変化はあるのでしょうか?
爪の厚さ
一般的には、高齢になるほど爪が厚く、硬くなると言われています。
通常、手の爪の厚みは、約0.3~0.8mmで、男性平均が0.6mm、女性平均が0.5mmと言われています。足の爪の厚みは手よりも厚く、男性平均が約1.65mm、女性平均が約1.38mmです。
しかし、爪が厚みを増してくるには「合わないシューズを履くことでの圧迫」や「深爪の習慣」「爪ケア不足」も原因していますので、一概に加齢だけが原因とは言えません。
爪の色
また爪の厚みが厚くなることで、色が黄色っぽくなってきます。
そもそも爪の色は、無色で半透明です。爪甲 が半透明なのは水分を約12~16%含んでいるからです。爪先 の白い部分は、爪床 から離れるため水分量が少なくなり不透明になります。ちなみに、健康な人の爪がピンク色に見えるのは、無色半透明な爪を透けて、指先の毛細血管の色が見えているからです。
加齢に伴って、爪甲の透明度はほとんど変化しません。爪が黄色くなるのは、爪の厚みを予防することで抑えられると言えるでしょう。
爪のしわ
年齢を重ねると、爪に縦筋が入ってきます。これは 爪甲縦条 と言って、爪のしわのようなものです。爪は皮膚の附属器官ですので、肌と同じような変化が出てくるのです。
爪甲縦条 は20歳頃に一番見えにくく、40歳頃から少しずつ目立つようになってきます。これはどうしても年齢とともに防ぐことができない爪の生理です。
加齢による爪の変化は、爪のしわだけ
50年にも渡り爪疾患の変形の発生機序、原因、治療法等について研究をしている皮膚科医 東 禹彦(ひがし のぶひこ)先生は、このように言っています。
成人してからの加齢に伴う唯一の変化は縦条が目立つことだけである。高齢者に出現する縦条以外の肉眼的に見える変化はすべて病的な変化である。(中略)高齢になると爪が混濁するという記載があるが、これは誤りである。
爪 基礎から臨床まで 改訂第2版 | 東 禹彦 著
つまり、加齢による爪の変化は、爪のしわだけ。
爪の成長スピードこそ劣りますが、加齢によって健康な爪を作る機能が著しく損なわれることはありません。そう考えると、適切なケアをすれば若く丈夫な爪を保てる、ということになります。
爪を若く保つ一番基本の爪ケアは?
これまで解説してきましたように、爪の厚みを肥大化させなければ、爪の色や爪の機能にも変化が出ないことが分かりました。
爪を肥大化させないためには、次の3つが有効です。
- 爪の保湿(爪の弾力性を保つ)
- 合わない靴を履かない(足爪を圧迫しない)
- 深爪にしない(足爪の成長を妨げない)
中でも一番大切なのは、保湿です。
加齢で爪の伸びが遅くなり、乾燥し、硬くなると、長年の足爪への圧迫が負担となり、足爪の肥大化を招いてしまいます。
それを防ぐには、足湯や足浴であたたまること、そして爪にたっぷりと保湿をすること。
つまり大切なのは、爪の水分含有量をキープすることです。
肌の水分保持と同じで、保湿力を上げる肌ケアと一緒ですね。
爪は硬いイメージがつきものですが、年齢を重ねていくほどに爪は水分を奪われ乾燥し弾力が失われていきます。厚みが出て硬くなるからこそ、水分を与えて弾力と柔軟性を保つことが一番大切な基本ケア。
爪も肌と一緒にネイルエッセンスやネイルオイルで潤いを与えて、柔軟性を保つことで若く丈夫な爪が育つ土台ができます。今までやっていなかった方は、ぜひ爪ケアを生活に取り入れてみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
加齢による爪の変化では、分岐点が大きく2つあることが分かりました。
- 20歳をピークに緩やかに爪の成長スピードは遅くなる。
- 40〜50歳以降は特に遅くなるので、外力によるダメージを避け、乾燥に注意する。
高齢者の中には足爪が痛くて立てず、体が弱ってしまうケースもあります。そうならないように爪のケアをして日頃から運動することは、健康寿命を伸ばすことにも繋がります。
適度にスポーツやウォーキングをした後は、自爪をチェックし、たっぷりと保湿しましょう。爪ケアを継続することで、爪の機能を維持し、健康で強い爪をキープすることができます。