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人間の爪はどうして付いているのでしょう?一見、日常生活ではあまり必要なさそうに思えます。
しかし、人間の長い進化の過程で残っているのは、何か秘密があるはずです。
爪の働きを知ると、そこにはスポーツパフォーマンスを高いレベルで維持する秘訣が隠されていました。
スポーツと爪には、どのような関係があるのか?
記事を読んで、その秘密を知り、日々のトレーニングや練習に活かしましょう。
この記事を読むメリット
- スポーツと爪の深い関係を解く「爪圧」の秘密が分かる
- スポーツパフォーマンスをさらに引き出す手がかりが見つかる
- 今すぐにでも導入でき、自分自身で始められる
- 野球のピッチャーや、ランナーにオススメの知識
爪圧とは?
指先の構造
指先の骨は、指の先端まで達していません。また、指先に向かって骨は細くなっていき、おおよそ爪の長さの真ん中ほどの位置までしか骨は伸びていません。
つまり、指の先端は骨の先端を包むように肉しかない状態になっています。
もし指先に爪がないと、どうなる?
もし爪がなければ、指の腹に加わった力を受け止める(=はね返す)ことが不十分となります。爪があることで、小さなものをつまむ、紙の枚数を数える、ペンで小さな文字を書くなどが細かい動作ができるようになります。
それは指の腹から加わった力が爪に届き、爪がその力を受けてはね返すからです。力を跳ね返すことによりうまくモノを捉えることができ、掴む・投げる・走る・踏ん張るという動作ができるようになります。
爪がなければ、手も足も指先に力が入りにくくなります。
爪圧とは?
爪圧(そうあつ)とは、指の腹から加わった力を爪がしっかりと受け止めることを言います。
手の爪の爪圧が強ければ強いほど、例えば、ボールを遠くに投げる、速く投げることができます。また、足の爪圧が強いほど、蹴り出しの力が大きくなり、さらには体を支え安定させるボディバランスも良くなります。
爪圧は、スポーツに欠かせない重要なファクターなのです。
深爪による爪圧の乱れ
深爪を例にとり、もう少し爪圧について考えてみましょう。
爪圧が正しくかけられている状態がこちらの図です。
青い矢印が示しているように、指の腹から加わった力を、骨や爪がしっかりと受け止めている様子が分かります。
骨や爪という硬いもので支えるからこそ、その反発力がスポーツをする上での様々な力となるのです。
それでは、深爪の場合は、どのようになるでしょうか?
深爪の場合、指の腹に力が加わった時、指の肉を貫通して、爪先の先端の皮膚が盛り上がります(ピンクの矢印のようになります)
この状態では、爪圧が機能せず、力が逃げてしまうのが分かりますでしょうか。つまり、スポーツではパフォーマンスが落ちる状態にあるのです。
また同時に、真っ直ぐ伸びようとする爪の進行方向に肉の壁ができて、爪の伸びを邪魔することにも繋がります。
その結果、爪が正常より上方向に伸びたり、厚みが増したり、凸凹の爪になります。
アスリートの爪の悩み
アスリートが、自身のパフォーマンスを最大限に発揮するには、爪のメンテナンスが非常に重要ですが、爪圧がブレることで、具体的にどのようなことがアスリートを悩ませるのかをみていきましょう。
プロ野球・高校野球
例えば、野球のピッチャーは変化球の回転を強くするため、爪を少し伸ばしている選手もいます。しかし、爪が伸びていると、ボールをリリースする瞬間にボールが爪先が引っかかり、二枚爪や爪割れなどのトラブルを起こすことがあります。
このような爪トラブルがある状態では、爪圧が爪に均等にかかりません。結果、爪の弱い部分に指の腹からの力が集中し、割れがさらに深くなり、亀裂も多くなってきます。当然、著しく投球パフォーマンスが落ちます。
ランナー
ランナーは、足の指で前に蹴り出す力が必要です。足の骨格や足底筋膜のクッション機能・バネ機能で得た前進力を、最後に力に変えるのが足の指です。
足の爪が深爪になっていると、先程説明したピンクの矢印のように力が逃げるため100%前進力に変えることができません。
逆に足爪が伸びていると、シューズの内側に爪が当たり、爪を圧迫してしまいます。特に左右からの圧迫を感じる場合は、巻き爪へと発展するリスクもあるため、注意が必要です。
また、通気性が悪いシューズはむれてしまうので、爪圧を適正にかけられなくなります。
その他のスポーツ
サッカー、ラグビー、バスケットボール、ゴルフ、バレーボール、柔道など、足を使うスポーツでは、足の爪の長さと形が適切でないと、踏ん張る力が弱まってしまうため接触があった際に転倒しやすくなることも考えられます。
思い返してみてください。チャンスシーンで本来なら耐えられた接触だったとしたら、ゴールやトライを決められたシーンもあったのではないでしょうか。
そうならないように爪にかかる圧力を適切にコンディショニングすることで体幹の支えとなり、ボディプレーにも強くなる体がつくれます。適切で丈夫な爪を作ることは、勝利につながる第一歩なのです。
爪圧を適正に保つコンディショニング
丈夫な爪を作るには、爪のメンテナンスを続けることがとても大切です。継続することで、指先や爪先は強くなるのです。
しかし、正しい爪のコンディショニングを知るアスリートは多くはありません。ごく普通に自分の感覚で爪を切り、伸びたら切るを繰り返す。そこに理論はほとんどありません。
自分で自分を弱くする爪切りがある!?
爪圧を知った今、「感覚で爪を切ること」は「アスリート自身がコンディションを日々変えている」ことと同じ意味だと、お気付いていただけるのではないでしょうか。
爪の長さや形で正しくコンディションを保っていれば、常に100%の力が出せる。しかし、伸びたら切るを繰り返すと、80%の力しか出せていない場合もあり得ます。
つまり、限界を自分で作っていた可能性すらある、ということになります。
アスリートネイルトレーナーが施す爪のメンテナンス
保湿などの日々のメンテナンスや万が一の際の早急な対処を行うことで、爪は丈夫になり安定したプレーを生み出します。
爪の専門家であるアスリートネイルトレーナーは、
- 爪の保護・補強を施す
- アスリートの爪に良い食生活のアドバイス
- 爪に関係する体の仕組み
- アイシング・テーピング
- アフターフォロー
などを含め、アスリートの爪をサポートするトレーナーとして注目を浴びています。アスリートネイルトレーナーの活動は、以下の記事を参考にしてください。
第1回 アスリートトレーニングプログラム (企画:Liprond / ネイルトレーナー支援:Athlete salon) 【日本初※】スポーツ×爪の多競技合同合宿!アスリートサロンが「第1回 アスリートトレ[…]
まとめ
いかがでしたでしょうか?
- 爪圧とは、指の腹に加わった力を爪が受け止めること
- 丈夫な爪は、強い爪圧に耐えられる
- 強い爪圧は、スポーツをする上で欠かせない力を生み出す
- 爪圧を適正に保つことで安定したスポーツパフォーマンスを発揮できる
今回は、スポーツに欠かせない爪圧について考えました。これをきっかけに自身の爪をよく見直してみてはいかがですか?
自己ベスト更新に悩みを持っていて、あと数秒速く、数センチ遠くに!という場合は、爪圧に注意を向けることで解決するかもしれません。
※「アスリートネイル」「ネイルトレーナー」は、一般社団法人アスリートネイル協会の登録商標です。
※この記事に興味がある方は、「足趾圧迫練習が内側縦アーチに及ぼす影響」( 石坂正大)も参考になるかと思います。