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アスリートトレーニングでは、競技力向上のための「競技練習」と「トレーニング」、そして疲労を残さないための「ストレッチング」を基本のメニューとして構成されています。
そして、オーバートレーニングや疲労の蓄積が一因で「スポーツ傷害」が起こり、それを予防する手段として「コンディショニング」があります。
この記事では、アスリートがトレーニングをする上でどうしても付き纏うスポーツ傷害のリスクをしっかりと理解して、リスクを極力低減するコンディショニングについての基本知識をお伝えします。
アスリートの基本を見直し、自身のトレーニングを振り返り、適正量を再確認するきっかけにしましょう。
この記事を読むメリット
- スポーツ傷害とコンディショニングの関係が分かる
- スポーツ傷害について正しく理解できるようになる
- コンディショニングをより良い状態に保つ3つの要素が分かる
トレーニングは体を酷使している
スポーツには、いろんな競技があります。そして、各競技に合った体の使い方や姿勢、フォームがあります。それらを支えているのは、体を維持する骨や筋力があるからです。
つまり、スポーツをすることは、骨や筋肉を使うということですので使い過ぎると当然、体に負担がかかります。しかし、オーバートレーニングにならなくても、自身の体と向き合うことは怪我予防の観点からとても大切なことです。
その具体的な理由を見ていきましょう。
そもそもスポーツは、体の動きに無理がある
人間は、完全二足歩行という特徴を得ました。しかし、人類の歴史上、今のようにスポーツをするようになったのはここ最近の話であり、生活する以上の負荷がかかるスポーツは、人体の構造上では無理な動きがかかっているのです。
スポーツの代償となるリスクを知る
また例えば、競技を問わず、スポーツをする動きが、
- 身体の構造上で変な動きである
- 繰り返し、同じ動きをする
- 負荷が大きい
- 他人や物と接触する
…という場合、身体の部位に怪我が生じる可能性があります。
つまり、「スポーツをするということは、怪我が発生する確率を増やす」ことであり、それ知るのはスポーツをする上でとても大事なことです。
スポーツ大会や試合に勝つために行う練習やトレーニングは、健康のために行う程度のものよりも、よりハードで、長時間で、身体を追い込むことも多いです。そのため、身体にさらなる負担がかかり、怪我の発生率が高くなることを再認識しましょう。
障害防止のトレーニング
筋肉痛がある時、それを我慢して運動トレーニングをすると、人間は痛みがないように動こうとして、本来の動作やフォームとは少し違った形(代償運動)となります。
それでも代償運動を続けているとフォームの破綻につながり、スポーツ障害、スポーツ外傷へと発展してしまいます。
また代償運動とならなくても、例えば、精神上の理由でやる気がない時は注意が必要です。それによる判断ミス、タイミングのズレは、同様にスポーツ障害、スポーツ外傷の温床にもなっていくからです。
だから、疲れを感じる時、筋肉痛がある時、気分が乗らない時などは、リフレッシュのためにも軽めのトレーニングで有酸素運動で抑えることをおすすめします。
スポーツ傷害と、スポーツ障害・スポーツ外傷
それぞれスポーツにおける怪我に関する言葉です。似たような響きの言葉ですが、それぞれこのような違いがあります。
スポーツ障害
スポーツで同じ動作を繰り返すことにより、少しずつ負担が蓄積して発生する怪我の症状や、慢性的になっている状態を、スポーツ障害と言います。
スポーツ外傷
慢性的ではなく、スポーツをしている時に急性的に発生した怪我の症状を、スポーツ外傷と言います。
スポーツ傷害
そして、スポーツ傷害とスポーツ外傷。これらのスポーツにおける怪我に関する症状をまとめて総称で「スポーツ傷害」と言います。
スポーツ傷害とコンディショニング
アスリートに最も多いスポーツ傷害
アスリートに関わるスポーツ傷害には、どのような症状が多いでしょうか?
最も頻度が多いのが、筋肉や健が微細に切れる筋断裂。
次に、肉ばなれ、腰断裂打撲、筋挫傷。
そして、靭帯が微細に切れる靭帯損傷や捻挫。
その他、軟骨が変形したり損傷する軟骨損傷、疲労骨折を含める骨折
…などが挙げられます。
頭をぶつけた脳震盪による脳損傷や、暑さなどから起こる熱中症、貧血などの疾病もあります。
筋断裂・靭帯損傷等につながる爪のコンディション
どの競技であっても、下半身を鍛えて重くすることで、体の重心が安定し突発的な動作にも耐えやすくなります。激しく動くスポーツの基本ともいえるでしょう。
また、同じくどの競技にも重要な役割を果たすのが、爪の機能です。前に挙げた代償運動は、爪のトラブルが起因して起こることがあるからです。
詳しくは、以下の記事をご参照ください。
記事レベル ★★☆☆☆【この記事は、4分で読めます】 スポーツをする上で、なかなか意識が向かないのが「爪」 しかし、爪のトラブルは関節のトラブルに発展することはご存知だろうか?人間には体を守る無意識の防御機能が[…]
アスリートが爪ケア不足でトラブルがあると、代償運動を引き起こす引き金になります。野球のピッチャーをはじめ、投擲競技の多くでは、爪の割れ、欠けによって100%の力が指先にかけられず、無意識の代償運動によって、手、手首、前腕、肘と、足、足首、下腿、膝と四肢に関わるスポーツ傷害につながってしまうのです。
コンディショニングの必要性
しかし、スポーツをすることでスポーツ傷害が発生率が上がることは分かっても、アスリートである以上、これを理由にスポーツを止めるわけにはいきません。
大切なのは、起こり得ることを理解しながら、できるだけ起きないように対処することです。一番良いのは、日頃からの体調管理を意識してすることです。
このように体調管理に関することを総称して「コンディショニング」と言います。日頃からコンディショニングを整えることは、アスリートにはとても重要で、スポーツ傷害予防のために普段からコンディショニングを行う必要があります。
コンディショニングに大切な3つの要素
コンディショニングをより良い状態にもっていき維持するためには、大切な3つの要素があります。それが「運動」「栄養」「休養」です。
この3つをすべてしっかりと行うことで、トレーニング中も試合中もベストな状態で臨ことができます。それでは、この3つを詳しく見ていきましょう。
①運動(トレーニング)
運動やトレーニングで、スポーツ傷害を予防するのに最も効果的なのは、筋力トレーニングとストレッチングです。
この2つをしっかり的確に行うことでスポーツ傷害の予防に大きくつながります。また、スポーツ傷害が発生してしまってからでも、この2つを行うことで早期回復をすることにもつながります。
筋力トレーニング
筋力トレーニングをすることで、関節が安定し怪我を防ぐことにつながります。関節には多くの靭帯がくっついていますが、靭帯は伸縮性がありませんので瞬間的な引張り力の負荷に耐えにくい部位です。しかし、筋力トレーニングで筋肉を鍛えると、靭帯の負荷を軽減してくれて靭帯をサポートする働きをしてくれます。
ストレッチング
スポーツ傷害の予防には、ストレッチングが効果的です。適時正しくストレッチングをすることで、筋肉などが柔らかくなり、怪我予防に大きくつながります。
各関節には、正常な関節可動域があります。その可動域を維持するためや、減少してきた関節可動域の回復に、ストレッチや柔軟体操を続けることで効果が出てきます。
アスリートとしてのパフォーマンスのベース条件には、この柔軟性や関節可動域がありますので、ぜひ積極的に取り入れたいですね。
②栄養(食事・サプリ)
骨、筋肉の他、身体はすべて、口から摂った食べ物の栄養素でつくられています。筋肉、心臓、脳などの身体機能が働くのは、栄養素のおかげです。
的確な栄養素の摂取は、コンディショニングに必須です。5大栄養素を中心に毎日適量を摂ることで、身体のコンディションを好調にキープすることができます。
アスリートや筋トレをする方は、特にタンパク質に注意していると思いますが、その中でもアミノ酸スコアが高い良質なタンパク質を摂ることが大切です。アミノ酸スコアが高いタンパク質は、体づくりにも強い爪にも良い効果をもたらします。
記事レベル 【この記事は、5分で読めます】 スポーツ選手にとって強い爪というのは、自分自身の爪が競技に継続的に耐えられる爪であることです。そのため、ジェルを塗っ[…]
③休養(睡眠・マッサージ)
休養と聞いて、まず思い浮かぶのは睡眠でしょう。
睡眠は、最も重要な休養ではありますが、長時間寝れば良いというものではありません。より良い睡眠の「質」がより良いコンディショニング結びつくのです。
身体を回復・再生させるのは、睡眠の質が最も影響します。そのために重要なのは、就寝の2時間前以内に、目に光を極力カ入れないことです。光が目に入れば入るほど、睡眠の質が低下するのです。
人間は、朝起きて目に大量の光(太陽など)が入った瞬間から、15~16時間後にホルモンが出て眠くなります。その性質をうまく利用し、睡眠のゴールデンタイムにスマホなどの強い光を見ないようにしましょう。それはコンディショニングにとって相当にマイナスになるからです。
睡眠の質の効果
睡眠と運動が互いに影響し合うことも報告されています。アメリカのスタンフォード大学のバスケットボール男子選手を対象に、睡眠の質による実験が行われました。5~7週間の間、毎日睡眠を10時間とるように推奨したところ、自他ともに競技パフォーマンスの向上が見られました。
評価種目 | 実験前 | 実験後 |
---|---|---|
282フィートスプリント(秒) | 16.2秒 | 15.5秒 |
フリースロー(10回中) | 7.9回 | 8.8回 |
3点フィールドゴール(15点中) | 10.2点 | 11.6点 |
実践時の被験者の自己評価(1〜10点) | 6.9点 | 8.8点 |
ゲームでの自己評価(1〜10点) | 7.8点 | 8.8点 |
爪の運動・栄養・休養
代償運動から紐解くと、爪も同様で運動・栄養・休養が必要です。
手足を使い、指先までしっかり力を加えて運動することは、競技力向上の他、巻き爪防止にもなります。
栄養面では、練習後にたっぷりとネイルエッセンスとネイルオイルで栄養と保湿を与え、爪の根元に刺激を与えないようにたっぷり休ませてあげることで、スポーツに最適な強い爪を育成することができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
- スポーツすることは、体を酷使し怪我の発生率を高めることと知る
- 怪我や違和感による代償運動は、さらなるトラブルを引き起こす
- コンディショニングの3要素は、運動・栄養・休養
- スポーツ外傷の予防には、筋力トレーニングとストレッチングが効果的
スポーツ傷害を予防し、コンディショニングをより良く保つためには、運動、栄養、休養が重要でした。
昔は競技練習ばかりで、トレーニングの効果を軽視していた時代もありますが、今ではパフォーマンスアップとスポーツ傷害予防に良い効果を与えるため、積極的に取り入れられています。
知ったことを知ったままにするか、しっかりと実践するか、その差はスポーツパフォーマンスに大きく影響します。大切なのは、自身の体に正直であること。体と相談の上、コーチとともにトレーニングを見直すきっかけにしていただければと思います。
※この記事に興味がある人は、こちらもオススメです。
「スポーツ傷害の予防とリコンディショニング」山本利春
「コンディショニング実施とスポーツ傷害発生の検討」神戸学院大学
「Mah CD, et al., Sleep. 34(7), 943–950 (2011)」