【爪の症例】登山(下山)で爪が痛い爪下血腫!放置は絶対NG!予防策は爪切り

記事レベル ★★☆☆☆
【この記事は、3分で読めます】


スポーツにおける爪トラブルの上位にランクインするのが、爪下血腫 だ。頻繁に起こる怪我であるのでトレーニング後は毎回、自身の爪の状況を確認したい。

今回そんな 爪下血腫 を正しく処置をせず、放っておいた結果、広範囲での 爪甲剥離 を招いた症例が上がってきたので報告する。程度がひどくなると痛みを伴い、トレーニングどころではなくなってしまう。適切な処置と対処を事例から学び、対策をしっかり行おう。

爪下血腫について詳細は、次の記事を参考にしてほしい。

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爪の症状の爪下血腫

症例概要

今回の爪トラブルの概要を紹介する。

性別男性
年齢30代
爪の症状爪下血腫
発症したスポーツトレッキング
発症経緯富士登山の下山中に右足親指に痛みを感じ、徐々に痛みが強くなった

症例患者のスポーツ生活スタイル

登山経験

普段よりトレッキングが趣味で月に1〜2回は山へ行く。厳冬期の登山経験こそないが、富士登山の経験は5回を数え、3,000m級の山々の縦走も行う中級者だ。過去の登頂した山を見ると、長距離移動や急勾配が続く登山を難なくこなしており、特筆すべき心配な点は見受けられない。

日常生活

また、仕事は外回りをする営業職であり、私生活においても足腰は普段から動かしているので運動不足とは判断できない。体は固い方であるが、爪以外においてもこれまでスポーツ傷害を患ったことはない患者であった。

一見問題がなさそうな症例患者が、どのようにして爪下血腫を負ったのか?その原因を詳しく見ていこう。

症状部位

爪下血腫 は、爪の根元で発症していた。左右の位置は左寄り。患者の右足親指の爪の大きさは約3cm四方あるが、爪下血腫は約2cm×1.5cmもあった。実に1/3を占める大きさだ。

原因

なぜここまで大きな爪下血腫ができたのか?患者にヒアリングすると、ある原因が浮かび上がってきた。

登山用具による原因の可能性

今回、患者が使用していた登山靴は足にぴったりフィットしており、長年愛用していたものだ。過去4回の富士登山でも同じシューズを使用していた為、シューズが原因とは考えられない。

発症した時の行動

注目のポイントは、登山中ではなく、下山中に発症したこと。このことからシューズ内の爪先のスペースが疑われた。下山時はシューズ内で足が爪先方向にズレやすく、ハイヒールを履いている状況と似ている。特に富士山では、傾斜角度が30度近くもある場所もあり、また富士山特有の赤土がスリップしやすい下山道を作り出している。

現に患者も初めて痛みを感じたのはスリップした時だと言う。その際に足の爪が硬い登山靴の内側に繰り返しぶつかっていたのだろう。聞くと登山前には爪切りをする習慣があったが、今回は前日の仕事が遅くなり、当日朝も交通機関に乗り遅れそうだった為、爪切りができていなかったと言う。

原因は、爪の長さが適切ではなかった為だった。

爪の長さは、長すぎず短すぎず、指の肉から出ないような長さに揃えることが怪我の予防に重要。形は、スクエアオフに整えたい。

経過観察と対処

これまで爪のトラブルを抱えたことがない患者だった為、しばらく放置していたと言う。黒くなった爪下血腫は、爪が伸びるにつれ徐々に爪先に向かって移動していった。

しかし、爪下血腫ができて2ヶ月後、血腫の根元側の端が割れたことにより血腫の逃げ道ができ、黒さが引いていた。
以下の写真は、その時に撮った初カウンセリングの時のものである。

爪下血腫発生、2ヶ月後の様子
左根元部に血腫の痕が見られる
根元側から見た別角度の様子
血腫が割れて爪が浮いているのが分かる

アスリートネイルトレーナーの対処

血腫が流れ出ると、血腫があったスペースは空白となる。つまり爪甲剥離を起こしたことと同義となる。

患者の場合、血腫が根元付近の亀裂と真横から逃げたため、爪の左寄りの中央部に空白が生まれた。しかし、爪先の部位はしっかりと爪床に密着している。

通常、爪甲剥離は爪が浮いた状態のままにしていると菌の温床となる危険がある為、浮いた部分の爪を切り取る。しかし、患者の場合、横から爪を切り取るのは難しく、このまま血腫痕が爪先に移動し、切り取れるようになるまで経過を待つことにした。その間、消毒と亀裂を塞ぐためにジェルで固めて自爪を補強する対処を行なった。

ジェルによる補強後の様子
根元側から見た様子
亀裂がしっかり塞がれている

発覚した時の取るべき処置

本来であれば、爪下血腫が発覚した時点で、爪の下の血を抜いておくべきであった。

おさらいとなるが、爪下血腫は、爪の下で内出血を起こす症状。しかし爪は硬く、その下には末節骨があるので内出血の逃げ道はなくなる。その結果、血腫が起こす圧力が高くなり、周りの肉を圧迫して激痛を招いてしまう。

爪に穴を開けて爪の下の血を抜くことで、痛みが軽くなり、その後の二次的なトラブルも最小限に抑えることができる。

爪に穴を開ける手法としては、針を回す方法と、ライター等で真っ赤に焼いたクリップなどで、一気に爪を溶かす方法がある。力加減が難しいものであるので、両方とも専門医にしてもらうことを強くおすすめする。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

  • 爪下血腫は、爪甲剥離を招く
  • 下山中は、硬い登山靴の内側に足の爪がぶつかるリスクがある
  • 爪の長さが適切に保つことが第一の予防策

爪下血腫は、患った部位を中心に爪本来の強度が落ちる為、爪甲剥離、爪の割れ、欠けやすい状態になる。スポーツをする以上、頻繁に起こる怪我であるとリスクを理解した上でトレーニングの後は爪の状態を毎回チェックする習慣をつけてメンテナンスしていただきたい。

今回の症例では、完治にはまだ至っていない。足の爪の根元で起きたケースなので半年以上の月日が必要だ。治療の経過が分かったら、追って続報としてレポートしようと思う。

その後の経過を示した続報を公開しました。こちらからご覧ください。

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