「爪を整えるだけで、こんなにも走りやすくなるのですね!」
そんな驚きの声が集まる鍼治療院がある。取材したこの日も朝から夜まで予約満杯だった。
その治療院は、東京都世田谷区「ハラハリ はら鍼治療院」
ここで今、ランナーの常識を覆すプロジェクトが始まっている。ランナーの足の悩みを解決するべく野心的なチャレンジが行われているのだ。
「ランナーの爪問題改善プロジェクト」とは、一体どんなものか?
その一部始終を取材した。
ランナーにとっては、興味深い話ではないだろうか。
特に慢性的な足トラブルを持つランナーや自己ベスト更新に悩むランナーは、走力アップの助けとなる記事なので、ぜひご覧いただきたい。
ランナーの爪問題改善プロジェクトとは?
そもそもランナーの爪問題とは、爪の何が問題なのでしょうか?
そこには爪に対する誤った常識がありました。
ランナーに根深い爪の問題
ランニングでは、全身のコンディションがその日の記録に大きく影響します。足部はとくに重要で、足指や足裏の痛み、機能状態、シューズの選択、シューレーシング(靴紐の結び方)などもコンディションを左右していると言えます。
足部には当然、爪のコンディションも挙げられますが、ランニングでダメージを受けた足爪をランナー本人がさほど問題視していない実態がありました。
あなたもこんな経験がありませんか?
- 「練習後に爪が変色したり変形したけど、痛みがないから放置してしまった」
- 「周りのランニング仲間も爪のトラブルを抱えているから、仕方がないと諦めていた」
- 「そもそも爪がなぜ生えているのかが分からない」
もしどれか一つでも思い当たるのなら、あなたは持っている力を最大限に引き出せていない可能性があります。
爪のコンディションを見直すことは、あなたにとって伸びしろかもしれません。
1分1秒を凌ぐランニングで爪に目を向けない手はないと思います。
ランナーにとっての爪の問題は、爪そのものにあるだけではなく、パフォーマンスの善し悪しにも関わっている可能性がある、そこがこのランナーの爪問題の根深いところです。
ランナーの爪問題改善プロジェクト
ランナーの爪問題改善プロジェクトとは、ランニングで放置されがちな足爪こそ足部のコンディションを語るサインと捉え、カラダの痛み、張り、胼胝等のフットケアと正しいシューズの選定と着脱をもって、総合的に足部のコンディションを整えるランナーのための取り組みである。
プロジェクトメンバーは、2013年日本体育大学を30年振りに箱根駅伝優勝に導き、自らランニングクラブを主宰する傍ら、鍼治療院を営み多くの陸上競技者にランニングを指導してきた原健介氏と、アスリートの爪を総合的にメンテナンスする、一般社団法人アスリートネイル協会 認定サロンの岡田磨紀子氏と木村春香氏の3名。
カラダのプロと爪のプロがタッグを組んだ実力派メンバーが、ランナーの爪問題の改善に希望の一手を差し伸べています。
ランナーの足部に刻まれる複数の問題
それではランナーにとって、爪とカラダがどのように影響を与え合うのか詳しく見ていきましょう。
ランナーに重要な足の爪の機能
ランナー、特にマラソンでは長時間走ることでシューズ内で蒸れが起こってきます。そして、爪は水分を含むと柔らかくなる性質があります。
また長時間のランニングで柔らかくなった爪がシューズ内でシューズと繰り返し擦れると爪にダメージがかかり変形したり、足の爪が正しく生えずに深爪の状態になっている方が多くいます。
足の爪が深爪状態では、ランニングにとって致命的なことが2つ。
1.足指で踏ん張りが効かない
2.足指で地面を蹴る力が効かない
さらに、足指の踏ん張りがきかなくなると、カラダのバランスを足指以外で保とうと代償運動が働き、足関節の使い方にねじれや歪みを生み、カラダの様々なトラブルにつながります。
爪と関係するカラダの歪み
爪の状態をよく観察すると、シューズの履き方、走法、体重移動のかけ方までランナーの走り方の癖が見えてきます。
一例を挙げると、小指の爪が三角形になっているような場合、足裏外側(アウトエッジ)から母趾球に体重が移動できず、小指に負担がかかる走り方になっています。また、それを表すかのようにシューズのソールは外側が擦り減っていて、直立した姿勢もO脚になっている、などです。
今まではシューズ やインソールを変えることで、姿勢を補正することが一般的でした。しかし、それは長年のランニングでカラダに刻まれた歪みを根本的に解決する手段ではありません。
道具を変えると同時に、姿勢やランニングフォームの原因にアプローチすることが必要なのです。そのためにはランニングで足部のバランスや蹴り出しに重要な役割を担う、爪の適正なケアとメンテナンスが求められます。
ランナーの爪の重要性
一般社団法人アスリートネイル協会 認定アドバイザーの木村春香氏はこう言います。
「爪は日常生活の習慣が出てくる。爪を見れば普段の生活が垣間見ることができます。」
一人ひとり爪の形は異なっている。それは顔のように遺伝的なことだけではなく、生活の中での足の使い方が爪に反映されてくるということである。
「爪の異常、タコや疾患、足の形…。すべてに何かの理由があって、長年どういう風に使ってきたかによって、人それぞれに変化していきます。踏まれたり、蹴られたり、靴で締め付けられたり、スポーツや仕事などの過酷な運動などで圧迫されたり…。人それぞれの足事情があるからこそ、ネイルケアのポイントもランナーそれぞれ違ってくるのです。」
爪の形は一人ひとり違うからこそ、自分自身の対処の仕方が気になるところ。そこを丁寧にフォローする岡田磨紀子氏に、爪の疑問を投げかけるお客様の安堵の表情が印象的だった。
「自宅でのケアのポイントは?」
「二重に重なった爪はどうしたらいい?」
「浮いてきた爪はとった方がいいの?」
足や爪の形が違うから、一つとして同じ答えはない。ランナー一人ひとりに合ったネイルメンテナンスに喜びの声が聞こえた。
「爪とカラダの治療で、ランナーをもっと救える」
長年アスリートの治療に携わり、思い通りに動けるカラダを作るをコンセプトとしたBCT(Base Control Training)を確立した、ハラハリ はら鍼治療院 院長の原健介氏は、ランナーの爪問題改善プロジェクトの真髄をこう語ります。
「今回、爪の専門家さんが施術をしているところを間近に見せてもらい、爪のコンディションをよく観察していると、このランナーはなぜ外反拇趾になったかとか、なぜこんなところに胼胝やマメができるのかが想像できるようになりました。また、なぜこの患者さんはいつもあそこが痛いとか張ると訴えるのかが、総合的に繋がってきて、治療のヒントが増えました。これはランナーをもっと救えるぞ。」
ランナーをもっと救う、と言葉にするのは簡単だ。
でも、原健介氏の言葉には「多くのランナーを救う」という意味の他に、「一人のランナーを根深い悩みから根源的に救う」という気概が感じられた。
「爪が死んだ」と言うランナーの誤解
原健介氏は、このようにも語っている。
「ランナーは爪が死んだとよく言うけれど、実はそれは誤解だ。アスリートネイルを知って、その本質が分かった。外見からは分からない隠れた爪の状態があり、爪はまだ生きている。それを見極めるにはアスリートネイルのプロの目が必要。死んだとは爪の見た目から爪の再生を諦めたことを言ってると思うが、そうではない。諦める必要なんてない。」
つまり、ランニングで爪のトラブルは付き物。そして、それは自然に治るのを待つしかない。そんな常識が誤っていると言うことだ。
まずはランナー本人が爪の問題を意識すること。そして、カラダと爪の両方から足部のコンディションを総合的により良く改善することで、ランナー一人ひとりが幸せになるのではないだろうか。
「カラダの痛い箇所や張りやすい箇所、バランスを整えることとセットで爪のメンテナンスを行なうことで、より効果的に爪を、そしてカラダの不調を解決に導けることに繋がります。」
ランナーの未来を想う原健介氏の活動は、まだ始まったばかりだ。今後の展開が楽しみである。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ランナーの足部に総合的にアプローチし、複数の原因が複雑に絡み合ったカラダの問題を解決に導く取り組みに、期待を抱いた方も多いのではないでしょうか?
一般的に誰しも痛みなどのトラブルが出てから対処し始めますが、予兆は必ずある。
- アップダウンでシューズに爪当たりを感じる
- スプリント走の調子が良くない
- 長距離練習後の調子が戻りにくいと感じている
どんな小さなことでも、それがカラダの変化の予兆である可能性はある。コンディションを万全に整えたい方は、足爪を見直してみてはいかがだろうか?
ランナーの爪問題改善プロジェクトは、ランナーの常識に一石を投じる取り組みであり、その歩みはすべてのランナーの幸せにつながることだろう。
ランナーの爪問題改善プロジェクト概要
1回約90分のトータルメンテナンスが終わる頃には、爪だけではなくランニングシューズの履き方やカラダのケアまで総合的にチェックできます。
まさに「ランナーの健康診断」とも言うべき内容は、次のメニューから構成されています。
- カウンセリング・フットバス
- 片足立ちのバランスチェック
- 爪のコンディションケアを施術
- 今後の爪のメンテナンスについて説明
- シューズの適切な履き方をレクチャー
- (場合に応じて)指のトレーニングやバランス改善のエクササイズを提示
1.カウンセリング・フットバス
2.片足立ちのバランスチェック
3.爪のコンディションケアを施術
4.今後の爪のメンテナンスについて説明
5.シューズの適切な履き方をレクチャー
6.(場合に応じて)指のトレーニングやバランス改善のエクササイズを提示
ランナーの爪問題改善プロジェクト 2021年5月受付中
2021年5月分の受付は終了しました
ランナーの爪問題改善プロジェクトでは、現在、2021年5月の施術予約を受付けています。
- 5月11日(火)
- 5月18日(火)
- 5月30日(日)
一度体験するとほとんどの方がリピートする密度の濃いケアが受けられるのが特徴。興味のある方は、お早めに次のInstagramアカウントから連絡しては、いかがでしょうか。
ランナーの爪問題改善プロジェクト 担当術者紹介
ハラハリ はら鍼治療院 院長
原健介(ハラハリ はら鍼治療院 院長)
はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師。大学在学中より学生トレーナーとしてトレーナー活動を開始。スポーツ鍼の第一人者・小林尚寿氏の元で修行の後、日本体育大学駅伝部の選手の治療を開始。アスリートを中心に幅広い治療を始める。2012年BCTを確立。翌年の箱根駅伝で日体大が30年ぶりの優勝を果たしBCTも注目される。三軒茶屋のハラハリ はら鍼治療院での治療の傍ら、全国の中学高校や大学、実業団、市民ランナー、指導者などを対象にトレーニング指導も行なっている。
一般社団法人アスリートネイル協会 認定アドバイザー
岡田磨紀子(爪Labo)
足爪のスペシャリストとして、様々なネイル技術を習得し、2018年にアスリートネイルトレーナーを取得。爪のあらゆる悩みの解消を手助けする他、アロマの知識を活かしアスリートやスポーツ愛好家のリラックスをサポートし、心身両面でのケアを大切にしている。
木村春香(爪SPA)
『爪から笑顔に』をコンセプトに、爪のプロがケアにこだわるネイルサロンを運営。自爪を健康に導くエキスパートとして、一人ひとりのお悩みを丁寧にヒアリングし、指先のベストを育て上げるカウンセリング力とサポート力に定評あり。2020年 第3回アスリートネイルアワード「優秀ネイルトレーナー賞」受賞