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足の爪下血腫 の完治にはとても長い時間がかかります。足の爪は、1日に約0.05mmしか伸びず、爪の根元から 爪先 まで生え変わるのに、約1年以上もかかってしまうのです。
今回の記事は、2019年11月に公開した「登山で起きた爪下血腫」のその後の経過を伝えていきます。
症例患者は、2019年7月中旬に負った爪の根元3分の1ほどの大きな爪下血腫の回復にあたりケアを続けていました。今日が5月中旬ですので、実に10ヶ月の歳月がかかっていることになります。
前回の様子は、以下の記事をご覧ください。
記事レベル ★★☆☆☆【この記事は、3分で読めます】 スポーツにおける爪トラブルの上位にランクインするのが、爪下血腫 だ。頻繁に起こる怪我であるのでトレーニング後は毎回、自身の爪の状況を確認したい。 今[…]
この記事はこんなことを書いています
- 大型の爪下血腫がどのように変化していくか?
- 爪下血腫を抱えながらスポーツをするにはどうしたら良いか?
- 爪下血腫を繰り返さないポイント
爪下血腫ができた背景と原因
症例患者の爪下血腫は、富士山の下山中に発症しました。下山中にスリップした時に初めて足指に痛みを感じたと言う。原因は爪の長さが長かったために、足の爪が硬い登山靴の内側に繰り返しぶつかっていたことでした。富士山の傾斜角度は30度にもなるルートがあるため、下山中は足が登山靴内で前にずれて、足指に体重がかかってしまうのです。
前回の記事では、爪下血腫ができて2ヶ月後の様子を紹介しました。爪下血腫の根元側の端が割れたことにより、爪の中で溜まった血腫が外に流れ、爪の中には空洞ができてしまいました。いわゆる 爪甲剥離 と同じ状況です。
爪下血腫の経過
今回は爪下血腫ができて3ヶ月後以降の様子を、爪の専門家アスリートネイルトレーナーの判断とともに追って紹介していきます。
負傷から約3ヶ月後
写真の爪の左上部分は、もともと爪下血腫を負っていた箇所です。
爪が割れたことで、血腫の血が流れ出て、爪の中に空洞ができています。
いわゆる、爪下剥離 の状態。
剥離した爪は、爪床 から水分を供給してもらうことができないので、乾燥し白濁している。
アスリートネイルトレーナーの見解
この状態でスポーツを続けると、剥離した左半分をきっかけにして、爪全体が剥がれてしまってもおかしくありません。そうならないように、爪割れの部分をしっかりと止め、毎日メンテナンスすることが重要。時にはジェルで爪全体を覆い隠し、割れや剥離を進行させないようにします。
また、爪に弾力性と柔軟性を少しでも持たせるために、剥離している部分を含めしっかりとネイルエッセンスで爪に必要な栄養と水分を与え、ネイルオイルでしっかりと保湿することが大切。
負傷から約5ヶ月後
アスリートネイルトレーナーの見解
剥離した部分が爪先から3分の1程度のところまで進んできた。写真からは分かりにくいが、剥離した下には 爪床 にしっかり密着した爪があるため、爪圧 は十分に働くことができる状態でした。
そこで不要になった剥離部分を切除。爪先は、深爪をしたような状態になってしまうが、ここ1〜2ヶ月はジェルで人工爪を作ることで、スポーツするに耐えられる爪を形成することにしました。
負傷から約6ヶ月後
人工爪を定期的に外し、自爪の状態をチェック。
- 剥離が悪化していないか?
- 爪は真っ直ぐに伸びているか?
- 痛みはないか?
- 運動で違和感がないか?
などを患者と一緒に振り返ります。
爪の右半分側は、まだ爪床に密着している部分があるため、このまま継続して様子を見る。
アスリートネイルトレーナーの見解
爪先の肉が盛り上がることなく、爪は真っ直ぐに伸びていることが確認できた。歩いたり、走ったりして指の腹から加わる力に対して、人工爪がしっかりと受け止めて抑えられている証拠です。これができていないと、爪は肉の壁に邪魔されて分厚く上方向に伸びてくることがあります。
爪の中央部分にある凹みは、爪下血腫を負った当時に爪の根元だった部分。爪は外傷で一度形が変形したら、そのまま伸び続けていきます。
負傷から約7ヶ月後
爪の右半分側も爪先に達したので、切除した状態。うっすらと爪先の白が見受けられます。
爪先のラインはガタガタしているが、爪やすりを使って整えられるようになってきた。
爪の中央の凹み以外も平滑で歪みは見たらない。
アスリートネイルトレーナーの見解
写真からも分かるように、爪を上から見て指の肉が見えています。いわゆる深爪の状態です。この状態ではまだ安心できないので、継続して爪先を守る補強を続けます。
爪床は剥離もなく、ピンク色を取り戻しているので、中央の凹みが爪先に到達するまで、ネイルエッセンスとネイルオイルで日々ケアを行い、爪の育成を助けていきます。
負傷から約9ヶ月後
中央にあった凹みが爪先まで伸びてきました。
爪の左から右まで、怪我以前の状態にほとんど戻っています。
アスリートネイルトレーナーの見解
ほぼ完治と言える状態です。爪先のラインが整えられる長さになり、自爪で爪の機能を回復できている状態と言えます。
爪下血腫は、回復期間中が一番難しいものです。負傷3ヶ月後や5ヶ月後の写真からも想像できるように、スポーツする上ではいつ爪が剥がれてもおかしくない状態にあります。これを適切に処置していいくことができた結果、自爪で強く丈夫な爪を取り戻すことができたと言えるでしょう。
症例患者は、この記事を公開している5月には正常な自爪を取り戻しました。約10ヶ月間の回復との戦いでした。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
- 爪下血腫は、回復までに時間がかかる
- 爪下血腫は、負った箇所と大きさにより 爪甲剥離 を伴うケースがある
- 日々適切に爪ケアとメンテナンスをすることで、練習しながら回復することができる
特にスポーツをしていると、爪下血腫の治療期間中に新たな怪我を生んでしまったりと、安定して回復させることが難しい場合が多くあります。また回復できたとしても爪の形がいびつになってしまうケースもあります。
自己流はリスクを伴います。スポーツは指先の微細な感覚が必要。これがあるからこそ、変化球を投げられ、強いジャンプ力やフットワークが可能になります。
爪はアスリートの生命線です。爪の専門家に相談し、常にベストパフォーマンスが発揮できるようにコンディショニングしくことを心掛けましょう。