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みなさん、靴紐の通し方で怪我予防ができることはご存知でしょうか?
前回、前々回と靴紐の基本的な通し方を解説しました。オーバーラップシューレーシングはタイトなフィット感を求める方に、アンダーラップシューレーシングは足への圧迫が少ないため、長時間のランニングにマッチする靴紐の通し方でしたね。
しかし、両方とも試したけど、なんとなく自分にはしっくりこない。
こんな疑問を感じている方はいませんでしょうか?
そこで今回は自分の足にフィットさせる靴紐の通し方の応用編。基本の2種類の靴紐の通し方をアイレット(=靴紐を通す穴)ごとに組み合わせ、自分の足型にぴったりなシューレーシングを見つけるヒントを解説していきます。
シューレーシングを最適化することは、爪を守ることにもつながりますのでランナー必見です。
この記事はこんなことを書いています
- 自分にぴったりな靴紐の通し方を見つける2つのヒント
- シューズ内の足のズレを抑える方法
- 爪や足の怪我予防につながるシューレーシング
- ランニング中級者〜上級者向けの靴紐の通し方の知識と応用
靴紐を通す意味と機能
シューズはサイズや幅を選んで買い物するのは当たり前のことになっていますが、実はそれだけではシューズを使いこなしているとは言えません。
これまでも繰り返しお伝えしてきましたが、靴紐(シューレース)の役割は、シューズと足を一体化させることにあります。一体化させることで初めて、シューズの機能の恩恵を受けることができ、正しい走り方がサポートされる他、靴擦れの防止、ひいては怪我予防につながってくるのです。
そんな大事な靴紐の通し方をマスターすると、走りが見違えるように変わってきます。
自分にぴったりな靴紐の通し方とは?
オーバーラップシューレーシングもアンダーラップシューレーシングもイマイチしっくりこない。そう思う方もいると思いますが、ここで悩まないでください。そう思うのは何もあなた一人だけではありません。
それもそのはず。人の足の形は千差万別です。それなのに、世に出ているシューズはメーカーごとに型があり、靴紐の通し方も2種類だけでは、自分自身の足に合わないのも当たり前ですよね。
大切なのは、自分の足の形を知り、それに合った靴紐の通し方をすることです。
オーバーラップとアンダーラップをいいとこ取りする
まず、靴紐には通し方に決まりはありません。オーバーラップシューレーシングとアンダーラップシューレーシングは、完成された靴紐の通し方ではなくて、あくまで一例にすぎないと考えましょう。
つまり、一足を全てオーバーラップかアンダーラップかに統一して靴紐を通す必要はないということです。
タイトなフィット感のオーバーラップシューレーシングと圧迫感がないアンダーラップシューレーシングを、アイレット(=靴紐を通す穴)ごとに通し方を変えることで、足に対して自由な調整ができるようになるのです。
そこにこそ自分にぴったりな靴紐の通し方を見つけるヒントがあります。それを2つ紹介していきましょう。
オーバーラップシューレーシングとアンダーラップシューレーシングの詳しい内容はこちらの記事が役立ちます。
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ヒント1 足の前後で、靴紐の通し方を変える
足の甲は人によって高さが違います。そして、2種類の靴紐の通し方にも甲の高さで向き不向きがありました。
- オーバーラップシューレーシングは、甲が低い人向け
- アンダーラップシューレーシングは、甲が高い人向け
ここで問題なのは、甲が高い人でも足の前後のどのくらいの位置から高くなってくるのかが異なることです。
足の甲高の位置に着目
- 中足骨の爪先側か、踵側か?
- 足のアーチが崩れて、どのくらい扁平足化しているか?
例えば、足の前方の甲が低い場合を考えてみましょう。
この場合は、靴紐の通し始めはオーバーラップシューレーシングでしっかりと締め、爪先から3〜4番目の穴からアンダーラップシューレーシングに変えて、ゆとりを持たせるような靴紐の通し方をすると良いでしょう。
足指の付け根あたりはしっかりと固定し、甲が高くなるにつれてゆとりを持たせるイメージです。
大切なのは、甲が高くなり走っていてキツイを思う感触を意識しながらトレーニングや練習をして、自分の足を振り返る時間を作ること。そうすることで、自分に最適な靴紐の通し方を見つけることができます。
ヒント2 足の親指側と小指側で、靴紐の通し方を変える
一方、左右の違いは、どうでしょうか?
これは走り方の癖に強い影響を受けますので、まずは愛用しているシューズのソールを見てください。ソールの擦り減り方を観察することで、自分に最適な靴紐の通し方のヒントが隠されています。
シューズのソールの擦り減りに着目
- ソールの擦り減り方は、親指〜踵の足の内側のラインでしょうか?
- それとも小指〜踵の外側のラインでしょうか?
よくあるのが、アンダープロネーションの方は、小指〜踵の外側ラインに重心がのってきますので、シューズの外側の方がよく擦り減っている傾向があります。
なぜ、重心が外側にのってくるか?
それは、骨格や体のバランスの他、靴紐の通し方も影響しています。
人の足の形は、小指側(外側)に比べて、親指側(内側)の方が幅が広く、甲が高くなっています。そのため、一足をすべてオーバーラップシューレーシング、もしくはアンダーラップシューレーシングで統一すると、着地のたびに足全体が小指側(外側)へ押し出されてしまい、外側に重心がのってくるからです。
シューズ内の足のズレを抑えるシューレーシング
これを防ぐには、次のように靴紐を通すと良いでしょう。
- 小指側(外側のアイレット)は、オーバーラップシューレーシング
- 親指側(内側のアイレット)は、アンダーラップシューレーシング
つまり、小指側(外側)をタイトに靴紐を締めて足のズレを少なくする。逆に親指側(内側)は圧迫感を少なくして、シューズ内での足のズレが小指側(外側)に向かわないようにするのです。
このようにアイレットの左右で靴紐の通し方を変えるだけでも、着地時にシューズ内での足のブレがなくなり、フィット感が高まります。
アンダープロネーションの方は、インソールを変える方法もありますが、靴紐の通し方でもサポートできるので試してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、オーバープロネーション(過回内)の方は、この逆です。親指〜踵の足の内側のラインが擦り減る傾向があります。しかし、靴紐でのサポートはなかなか難しいので、インソールをつくることをおすすめします。
靴紐を通すスキルは、爪下血腫の予防に欠かせない
ランナーがよく悩まされる爪下血腫を予防するには、靴内での擦れや圧迫をなくすこと。それにはシューズの先端でのあらゆる接触をなくしたり、柔らげたりする必要があります。
- 下り坂で爪先がシューズの内側に当たる
- 隣の指同士の擦れを抑える
- 着地のたびに、シューズ内での足のズレを抑える
このような悩みは、シューズと足を一体化させることで解消できます。
そのための道具が、靴紐。
靴紐は一見地味のように思えますが、走力のパフォーマンスアップと怪我予防の両方に影響する大切なランニングツールなのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
- 靴紐の通し方に、明確なルールはない
- 自分の足にぴったり合う靴紐の通し方は、足の形を知ることから始まる
- 自分に最適な靴紐が通せると、パフォーマンスにも怪我予防にも良い
- 靴紐でシューズと足を一体化すると、爪下血腫予防にもなる
またスポーツの基本は「走る」ことが挙げられます。ランナーに関わらず、スポーツを楽しむすべての方にとって、靴紐の通し方は身につけるべき大切なスキルです。
しっかりとマスターして、スポーツ障害予防し、スポーツを楽しみましょう。